昨日のつまらぬ喧嘩だが、一応経過を聞いて頂きたい。
部屋にこもってどのぐらいの時間がたっただろうか。感覚的には15分ぐらいだが、実際はもう少し短い時間だったかもしれない。
主人が上がってくる気配がし、ほどなくノックの音がした。
私が無言を決め込むと、主人はドアを開けようとするも鍵がかかっていることに気づくと、私の名前を呼びながら、あくまでも冷静に上品に再度ノックをしてきた。
私は冷静さを失い涙でぐしゃぐしゃになった恐ろしく醜い顔をのぞかせ「私はもう会わないから」と酷くしゃくりあげながら、その言葉を何度も繰り返した。
主人はまるで事態を把握できぬかのような困惑顔をし、これはどうにも手がつけられぬと思ったのだろう「はいじゃあわかりました」とやけくそ半分で下へおりて行った。
主人は最後に私が顔を見せないことを、あの感情の酷く乏しい保険会社の女になんと言ったのであろうか。
主人の性格からするとありのままを伝えているような気もするが、今更私はどう思われようが怖いものなどない。
こんな事態になることなど先刻承知の上でしたことだ。
だいたいあの女も商売する気はあるのか。もっと愛想よくできないのかと八つ当たりもしたくなる。
それでその日は終わりである。
私が夫婦喧嘩ではじめて夕飯作りを放棄した記念すべき日でもあった。
今日という日だけは、もう一切何もするものかと私は心に決めたのだ。
私のかつてない怒りを家事を放棄することでせめて表現したかった。
しかしキッチンには汚れた食器、溢れる生ゴミ、洗ってザル上げしていた葱までそのまま置いてあった。
悲しい主婦の性というのであろうか、とてもそんな状態を放置して眠る気にはなれなかった。
仕方なく食器を洗い、生ゴミを生ゴミ乾燥機に突っ込み、葱をいつになく薄くきれいに切ってタッパーに入れた。
きれいに片付いたキッチンはやはり気分が良い。誰の為でもない。これは、自分にとって必要不可欠な仕事であった。
ついでにダイニングテーブルを丹念に吹き上げ、散らかったリビングのゴミも捨て、トイレ掃除までして仕事を終えた。
あ…私は何をしているのだとハタと思ったがいやいや気分は爽快であった。
部屋にこもってどのぐらいの時間がたっただろうか。感覚的には15分ぐらいだが、実際はもう少し短い時間だったかもしれない。
主人が上がってくる気配がし、ほどなくノックの音がした。
私が無言を決め込むと、主人はドアを開けようとするも鍵がかかっていることに気づくと、私の名前を呼びながら、あくまでも冷静に上品に再度ノックをしてきた。
私は冷静さを失い涙でぐしゃぐしゃになった恐ろしく醜い顔をのぞかせ「私はもう会わないから」と酷くしゃくりあげながら、その言葉を何度も繰り返した。
主人はまるで事態を把握できぬかのような困惑顔をし、これはどうにも手がつけられぬと思ったのだろう「はいじゃあわかりました」とやけくそ半分で下へおりて行った。
主人は最後に私が顔を見せないことを、あの感情の酷く乏しい保険会社の女になんと言ったのであろうか。
主人の性格からするとありのままを伝えているような気もするが、今更私はどう思われようが怖いものなどない。
こんな事態になることなど先刻承知の上でしたことだ。
だいたいあの女も商売する気はあるのか。もっと愛想よくできないのかと八つ当たりもしたくなる。
それでその日は終わりである。
私が夫婦喧嘩ではじめて夕飯作りを放棄した記念すべき日でもあった。
今日という日だけは、もう一切何もするものかと私は心に決めたのだ。
私のかつてない怒りを家事を放棄することでせめて表現したかった。
しかしキッチンには汚れた食器、溢れる生ゴミ、洗ってザル上げしていた葱までそのまま置いてあった。
悲しい主婦の性というのであろうか、とてもそんな状態を放置して眠る気にはなれなかった。
仕方なく食器を洗い、生ゴミを生ゴミ乾燥機に突っ込み、葱をいつになく薄くきれいに切ってタッパーに入れた。
きれいに片付いたキッチンはやはり気分が良い。誰の為でもない。これは、自分にとって必要不可欠な仕事であった。
ついでにダイニングテーブルを丹念に吹き上げ、散らかったリビングのゴミも捨て、トイレ掃除までして仕事を終えた。
あ…私は何をしているのだとハタと思ったがいやいや気分は爽快であった。