当団体「シンフォニエッタ盛岡」は、県内ではめずらしい小編成による室内管弦楽団として2007(平成19)年に創設されました。
もともとは35年間長らく活動していた「盛岡室内合奏団」というバロック音楽を追究する団体が変遷・再編の形で誕生したわけですが、再編へ至ったいきさつについては、メンバーの高齢化、代表者の県外転出、将来へ向けた活動の活性化を図ることが主な理由でした。そして、時同じくしてポップスやポピュラーなクラシックを演奏する団体として愛されてきた「アンサンブルミックス」(こちらは、故・成田浩先生が100%個人出資により運営されていた団体)も15年の歴史にピリオドを打とうとしていました。
しかしながら、両団体ともそれまでの長い活動を惜しむ地元のファンの方もたくさんいらっしゃいましたので、そこで「盛岡室内合奏団」と「アンサンブルミックス」の双方の特徴を生かしつつも、目的を新たに演奏への向上心をもつ新たな団体を立ち上げようではないかと当時の役員が発案。この案に賛同して集まったメンバーが発起人となり、誕生したのが「シンフォニエッタ盛岡」なのです。
また、「シンフォニエッタ盛岡」の創設者は、「太田カルテット」のメンバー・赤沢長五郎氏の弟子の故・成田浩氏であります。
太田カルテットとは岩手の洋楽の草分けとして盛岡地域で大正から昭和初期にかけて活躍したカルテットで、岩手郡大田村(現盛岡市)で、優れた音楽活動を続けた弦楽四重奏団です。メンバーは当時の豪農たちで、東京からプロの音楽家を招いて、1カ月にも及ぶ演奏会を開いたこともあるそうな。その太田カルテットのバイオリン奏者・赤沢長五郎氏の弟子が、当団の創設者である成田先生。ゆえに・・・私たちは太田カルテットの孫弟子的存在ということになります。
そうした太田カルテットの流れの先に誕生した団体として「シンフォニエッタ盛岡」は、「弾く人と聴く人で雰囲気を作り上げる室内楽」をモットーに、現在、市内での演奏会をはじめ出張演奏などを精力的に行っています。
今後も地域への奉仕と盛岡の文化向上に努め、“盛岡一温かく贅沢な音楽”をお届けできるよう、メンバー全員で精進していきたいと思っております。
現在は、およそ30人のメンバーが在籍し、18世紀の演奏スタイルを基本に、いわゆる大編成のフルオーケストラとは異なる小編成オケならではの響きを追求する団体として活動しております。
当団の演奏会での特徴として、室内楽編成の選曲を行うとともにクラシックに馴染みのない聴衆にも楽しめるよう、地元編曲家によるポップスや映画音楽、唱歌などの演奏も積極的に取り入れております。編成が小規模なので、個々の音や響きをアンサンブルでじっくりと楽しむことができるのも特徴のひとつであります。