橋下市長が7月市会で成立を狙っている「政治活動規制条例案」学習会が10日、大阪市内でおこなわれ、民間労組からも多くのワーカーが参加し、専修大学の晴山一穂教授(公法学)が講演しました。以下講演の概要です。
歴史的経過に逆行する内容
戦後、日本国憲法が施行され、その精神を受けて1947年国家公務員法が制定されました。政治的行為規制についても、その対象行為は限定され、刑罰規定もない、労働基本権も原則保障する内容でしたが1948年、アメリカの対日政策の転換の中で学会や世論の批判のもと厳しい内容に改正されました。
政府はその2年後の1950年に地方公務員法を制定しましたが、国家公務員法があまりにも厳しかったので、政治的行為の禁止を5項目に限定するなど制限を緩やかなものにしました。
今回の条例案は、そういう歴史的経過を見ず、地公法を国公法なみに厳しくするという逆行です。
世界基準から遅れすぎ
国公法を厳罰主義に変える根拠となったアメリカのハッチ法はすでに撤廃(1993年)、イギリスも広範な政治活動の自由が保障されています。また、ドイツでは公務員も一市民として政治的自由を有します。フランスでは政治活動は公務員の憲法上の権利。政党内での活動や立候補も自由。議員になれば、公務員としての仕事は休職扱いとなっています。
懲戒処分は記事罰より軽くない
公務員の政治活動を刑罰で規制するのは違憲です。(憲法21条「表現の自由」に違反)
懲戒処分なら許されるのでしょうか。罰金5000円の刑事罰と懲戒免職を比べれば、懲戒処分の法が軽いとは言えません。今回の条例案は「違反=懲戒免職」の異常さで、退職金もない「懲戒免職」は公務員にとって「死刑」判決といえます。