あすの心配は無用・・・・・1
神の特別なスイッチ
金沢こころクリニック院長浜原昭仁
精神科医として診療していると不思議な患者さんに出会うことがあります。ある日、目の下にクマをつくって、ふらふらしながら診察室に入って来た方がいました。
この2週間、朝の4時まで眠れません。頭がふらふらして気が変になりそうです。
特にほかの症状もなかったので、不眠症の診断で入眠剤を処方しました。
1週間後、その方が再び来ると表情が生き生きとしていて、、一目で改善していることが分かりました。薬の効果が得られて良かっと思いながら話を聞いていると驚きました。その方は薬を1回も飲んでいなかったのです。
薬をもらったらほっとして、これで寝られると安心したんです。眠れない時はいつでも飲めると思ったら、飲む前に寝ていました。
確かに治って良かったのですが、何か拍子抜けしました。薬を持っているだけで効く人もいるんですね。どうしてでしょう。
ある興味深い実験があります。参加者はパズルの課題に取り組むのですが、突然の予想できない音に妨害されます。すると参加者は汗をかき、心拍数と血圧が上昇しました。集中が途切れ、ミスを連発してしまいます。イライラするあまり、課題を投げ出してしまった人たちもいました。そこであるグループには、騒音を止めることができるスイッチが与えられました。騒音があまりに不快になったら、スイッチを止めることができます。その結果、スイッチを与えられた参加者は冷静を保ち、ミスが少なくなったのです。驚くべきことに、実際にスイッチを押した参加者は、ただ一人もいませんでした。騒音を止めたからストレスが減ったのではありません。騒音を止められるという安心感が、集中力を高めたのです。実験の参加者はスイッチを与えられたことで、嫌な音を止めることができる という安心感を持ち、その結果としてストレスに耐える力が高まったのです。
初めに紹介した不眠症の方も、入眠剤を持っていることで、いつでも寝ることができると信じて、安心したから深い睡眠が得られたのです。
実は飲んだとしても、効果は一定とは限りません。医者を信じられると十分な効果を発揮しますが頼りにならない医者から処方されると副作用ばかりが出てしまうこともあります。単に薬に頼っているのではなくて、医者の人格を信頼しているのです。
あなたがたが、わたしの名によって何かをわたしに求めるなら、わたしはそれをしましょう。ヨハネ14,14
イエス様は 困ったことがあったらどんなことでも助けを求めなさい。わたしが一緒にいてあなたを守るから安心ですよ と励ましてくださっているのです。
クリスチャンにとって祈りは、どんな薬より効果があります。祈りとは、キリストという人格への深い信頼です。そこに精霊を通して神の力が働きます。イエス様を信じ、頼っているなら、私たちは平安で力強い人生が歩めます。
祈っても思うようにならないと感じることもあるでしょう。しかし神を信じるということは、は、神が常にあなたに最善をなしてくださると信頼することです。現実の困難にとらわれないで、イエス様を見つめて歩んでいきましょう。
浜原昭仁はまはらしょうに
高松病院副院長を経験した後、金沢こころクリニックと付属チャペルを開設。現代の悩む人々に、心と霊的なケアを行っている。
月刊誌ちから4月号より転載