〔よしなしごと)『言葉の宝箱』《かくしごと》

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

青山美智子【好きって、人を救ういい言葉だ】

2025-02-25 14:34:37 | 青山美智子


『お探し物は図書室まで』青山美智子(ポプラ社2020/11/9)

 

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々がふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた町の小さな図書室。
「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。
狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。
本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。
不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまう。
話を聞いた司書さんは一風変わった選書をしてくれます。
図鑑、絵本、詩集など。そして選書が終わるとカウンターの下にたくさんある引き出しの中から、
小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは羊毛フェルト。
「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と。
自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていく
『朋香(21歳)婦人服販売員』『諒(35歳)家具メーカー経理部』『夏美(40歳)元雑誌編集者』
『浩弥(30歳)ニート』『正雄(65歳)定年退職』5話。


・続けているうちにわかることってあると思う P45

・今の自分にできることを今やる。それでいい P46

・口に入れるものや身の回りのものをていねいに扱わないって、自分を雑にするってことだ P48

・何ができるのか、何をやりたいのか、自分ではまだわからない。
だけどあせらなくていい、背伸びしなくていい。
今の生活を整えながら、やれることをやりながら、手に届くものから身につけていく。備えていく P57

・何を探してるのかって……
もてあましている夢の置き場かもしれない P75

・いつかって言ってる間は、夢は終わらないよ。
美しい夢のまま、ずっと続く。かなわなくても、それもひとつの生き方だと私は思う。
無計画な夢を抱くのも、悪いことじゃない。
日々を楽しくしてくれるからね(略)
でも、夢の先を知りたいと思ったのなら、知るべきだ P77

・仕事って、社会におけるポジションの確保だと思うんです P101

・いつかやろうって時が来るのを待っていたらめぐってこないかもしれない。
いろんなところに顔を出して、いろんな人と話して、
これだけたくさん見てきたから大丈夫って思えるところまでやってみることで、
『いつか』が『明日』になるかもしれない(略)
大事なのは、運命のタイミングを逃さないってことじゃないかな P104

・何も言わないで、ついてきてくれたんです。感謝しています P106

・いつかを待たないで……
これから動いてみようって気持ちになりました P107

・世界は何で回ってると思う?(略)
私はね、信用だと思ってる(略)
お金集めだけのためにクラウドファンディングをやろうと思ったら大変よ。
開業できるほど集まるかなんてわからないもの。
それよりも、公報活動のすごいツールになると思う。
熱く語って、信用してもらうの。
むしろ、経験のない人が本気で、嘘偽りのない言葉で伝えたことは、きっと人の心を動かすと思う(略)
理屈よりも、ワクワクするならその選択は正解なんだよ P113

・やることはたくさんあるけど、「時間がない」なんて言い訳はもうよそう(略)
「ある時間」で、できることを考えていくんだ。
「いつかが」「明日」になる P118


・人生で一番がんばったのは生まれたとき。
その後のことは、きっとあのときほどつらくない。
あんなすごいことに耐えたんだから、ちゃんと乗り越えられる P138

・幸せに優劣も完成形もない(略)
人生なんて、いつも大狂いよ。
どんな境遇にいたって、お思い通りにはいかないわよ(略)
計画や予定が狂うことを、不運とか失敗って思わなくていいの。
そうやって変わっていくのよ。自分も、人生も P159

・私たちは大きなことから小さなことまで
「どんなに努力しても、思いどおりにできないこと」に囲まれて生きています P161

・書物そのものに力があるというよりは、
あなたがそういう読み方をしたっていう、
そこに価値があるんだ P165

・同じでいようとしたって変わるし、
変わろうとしても同じままのこともあるよ P166

・やりたいことが決まってるって、それだけで素晴らしい P168

・好きって、人を救ういい言葉だ P217

・仕事をしていないということは、休みがないということなのだ。
働くからこそ、休日は生まれる。
前日のあの解放感を味わうことは、わたしにはもうない P269

・詩っていうのは、こむつかしいことを考えないで雰囲気で読めばいいのよ。
好きなようにイメージして P271

・人と人が関わるのならそれはすべて社会だと思うんです。
接点を持ったことによって起こる何かが、過去でも未来でも P285

・役に立つか、モノになるか。
これまでのわたしを邪魔していたのはそんな価値基準だったのかもしれない。
でも、心が動くこと自体が大切なのだと思うと、やってみたいことはいくつもあった P299



青山美智子【そうしたいと思いながらなかなか実現しないことがたくさんあります。ちょっと踏み出すだけでかなうかもしれないのに】

2025-02-19 11:19:02 | 青山美智子


『木曜日にはココアを』青山美智子(宝島社2017/9/9)

 

僕が働く喫茶店には不思議な常連さんがいる。
必ず木曜日に来て同じ席でココアを頼み、エアメールを書く。
僕はその女性を「ココアさん」と呼んでいる。
ある木曜日いつものようにやって来たココアさんはしかし手紙を書かずに俯いている。
心配に思っているとココアさんはぽろりと涙をこぼしたのだった。
主夫の旦那の代わりに初めて息子のお弁当を作ることになったキャリアウーマン。
厳しいお局先生のいる幼稚園で働く新米先生。
誰にも認められなくても自分の好きな絵を描き続ける女の子。
銀行を辞めてサンドイッチ屋をシドニーに開業した男性。
人知れず頑張っている人たちを応援する一杯のココアから始まる温かい12色の物語。

静かな住宅地の隅にあるマーブル・カフェを舞台に繰り広げられる
『木曜日にはココアを』『きまじめな卵焼き』『のびゆくわれら』『聖者の直進』『めぐりあい』『半世紀ロマンス』『カウントダウン』
『ラルフさんの一番良き日』『帰ってきた魔女』『あなたに出会わなければ』『トリコロールの約束』『恋文』の12話連作短編集。


・夢はかなったところから現実だから P12

・ひとつひとつがライブなんだ。
試行錯誤で、体当たりで、合っているかどうかわからない正解を探し続ける。
毎日毎日、音を立てるように大きくなっていく子どもたち。
ひとりひとりと向かい合いながら、きっと私も伸びていく P61

・なるべくまっすぐな道を選ぼうとしてきたし、人にもそれを望んでたけど・・・
どこか間違ってるのかしら(略)
道がまっすぐかどうかというよりも、
曲がりくねった道をがんばってまっすぐ歩こうとしてるならいいんじゃないかな P78

・私たちは1秒先のことも知らされないまま暮らしている。
自分の意志だけではどうしようもない、抗えないことも向こうから訪れる。
そんなときに果てなくふくらんでいく不安は、私たちにおそろしいシナリオを書かせる。
自分で作ったストーリーなのに、まるで誰かに与えられた未来のように、
そしてそれがもう決まってしまったかのように、私たちは脅かされる。
でも本当は、そんなものはどこにも存在しないのだ P201

・好きなところにいるだけで、元気になることもあると思います P213

・そうしたいと思いながらなかなか実現しないことがたくさんあります。
ちょっと踏み出すだけでかなうかもしれないのに P215




青山美智子【変化を恐れず味方につけよ】

2025-02-16 07:31:10 | 青山美智子


『鎌倉うずまき案内所』青山美智子01(宝島社2019/7/26)

 

主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬は取材のため訪れた鎌倉で古ぼけた時計屋の地下にある、
ふしぎな案内所『鎌倉うずまき案内所』に迷いこんでしまう。
そこには双子のおじいさんとなぜかアンモナイトがいる。
会社を辞めたい20代男子。
YouTuberを目指す息子を改心させたい母親。
結婚に悩む女性司書。
クラスで孤立したくない中学生。
気づけば40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。
ひっそりと暮らす古書店の店主。
平成の始まりから終わりの30年を舞台に6人の悩める人々を通して語られる心がほぐれる6つの優しい物語。
『2019年蚊取り線香の巻』『2013年つむじの巻』『2007年巻き寿司の巻』
『2001年ト音記号の巻』『1995年花丸の巻』『1989年ソフトクリームの巻』


・変化を恐れず味方につけよ P31

・優しいことしか言わない人のほうが、俺は信用できないよ。
仕事紹介しますよって軽く言われてそのまま放置されることって多い P37


・だめだよ。
心から願ってるわけじゃないことを言葉にしちゃ。
言うと本当になっちゃうよ P37

・いつの世も、主婦を見ればその社会の実態がわかるよ。
主婦がイエスと言わない商品は絶対に売れない。
安いっていうだけの理由で彼女たちは財布を開かないし、
モノだけじゃない、時間や労働の値打ちに目をこらしている。
いつも頭と手を使って、細部まで熟考しているんだ。
この時代でどうすれば自分や家族が幸せに暮らせるかって。
それが社会ってことだろ? P46

・かなわなかった憧れを幻で終わらせない P57

・ふたりでひとつ。
結婚って、そういうことなのかもしれない P137




青山美智子【痛みを覚えることは、痛くないようにする方法も一緒に覚えることと等しかった】

2025-02-15 14:58:18 | 青山美智子


『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子(宝島社2021/9/23)

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店『マーブル・カフェ』が定休日の月曜日に、1度だけ『抹茶カフェ』を開くことに。
ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶問屋の若旦那、
妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、
恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、
時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマンなど。
この縁はきっと宝物になる。
人は知らず知らずのうちに誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都を繋ぐ一年、心癒やされる12話連作短編集。
『木曜日にはココアを』の続編。


・何をしてもうまくいかない日ってあるものだ P7

・人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ。
縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。
小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。
種のときは想像もつかないような P14

・ノリの良さと運の良さは比例する P20

・思い出って、流れ流れゆく時間を留めておくピンのようなものかもしれませんね。
だけど留める場所は人それぞれだから、
ピンの位置がちょっとずれちゃったりもするんですよ P38

・僕たちはみんな、自分が覚えたいように覚えてるだけかもしれない P41

・痛みを覚えることは、痛くないようにする方法も一緒に覚えることと等しかった P45

・いくら一生懸命に良いものを作っても、気づかなければ「ない」のと同じなのだ P47

・卒業って、次のステージに行っておしまいじゃなくて、
ここまでがんばってきたことをたどって自分で自分を認めたり、
支えてくれた人たちにあらためて感謝したりの節目ってことでもあるんだわ P59

・話の通じない相手にケンカをふっかけたところで、意義のある対戦になるわけもない。
負けない自信はあるが、そもそもどうなったら勝ちなのかよくわからない P80

・この世はとかくままならない。
私たちは、あらゆる苦難と立ち向かい、乗り越えていかなければならない。
自分で操る手立てのない、想定できない災いすべてを受け止めて P115

・性格違うほうがうまくいくこともある P145

・人が輝く場所もタイミングも、それぞれ P164

・技術的に上手いか下手かじゃなくて、どれだけ描きたいことがあるかだ P176

・望み通り想定したままのことを手に入れたとしても、
それだけじゃ夢が叶ったとは言えないんだよ(略)
どんどん自分の予想を超えた展開になって、
それをちゃんとモノにしていくっていうのが、
本当に夢を実現するってことなんじゃないかな P178

・変化していく環境の中で少しずつのマイナーチェンジは必要なことなのだと、
そうすればできることが広がっていくのだと、励まされたような気がした P208

・縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。
どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうぐらいに。
ひとつひとつ交わす言葉や、わずかでも顔を合わせる時間や、相手へのそのつどの思いやりや……
丹精込めて手をかけて、続いていくものなんですよ P213




青山美智子【いろいろなものに、しがみつかれていると思っていた。でも違った。私がしがみついたいたのだ】

2025-02-15 07:22:03 | 青山美智子


『いつもの木曜日』青山美智子(宝島社2022/9/9)

 

・「楽しいこと」より「楽しみなこと」がたくさんあるほうが、
人生は幸せなんじゃないかと思う(略)
「楽しみ」には「楽しい」も含まれていてお得だし、
自分で用意することもできる(略)
まだ起きていないことを「楽しみだなあ」って思える想像力が、
未来を創っていくものだと思う P4

・ほんのちょっとの「これくらい」を自分に許したら、
「これ」は気がつかないうちにじわじわと大きくなっていくだろう P9

・サービスって、
相手のことを想って、
心を配るってことだ P19

・誰とも張り合う必要なんてなかったのに P28

・時間って「ある」とか「ない」とかじゃなくて、
ずっと流れ続けているものなんじゃないかな P38

・実際に嫌なことが起きているときよりも、
「嫌なことが起きたら嫌だなあ」って思う時間が本当につらいものよ P43

・自分をしっかりもてなすことを、
私は最近ようやく覚えた気がする P48

・いろいろなものに、しがみつかれていると思っていた。
でも違った。
私がしがみついたいたのだ P50

・思いもよらない事態に立ち止まるときに、必要なのはたぶん(略)
柔軟であること。そして冷静であることだね P63

・何かをやりたい、知りたい、と思った時点で人は変わる。
まだ何もしていなくても、そう願った瞬間から、
それまでいた場所から少し遠くへ進んでいる気がする P85