昔

昔は
記憶でしかない
なぜなら
日々
人間は
リセットされるからだ
昔は
良かったとか
話すが
確かに
年齢的にも
若いから
たくさん
いろいろなことが
できた
年齢とともに
行動は
狭まり
いろいろと
できなくなる
そこで
昔が
出てくる
だから
今
できることを
やれば良い
全部やろうと
するから
記憶が
よみがえって
しまう
だから
この瞬間の
記憶だけで
充分じゃないか

かけら

人間は
たくさんの
かけらで
できている
ひとつの
かけらが
欠けても
人間では
なくなる
自分の
たくさんの
かけら
大事に
しようよ

鳴らない

鳴らない
携帯電話
もう
ずいぶん
鳴らないな
この電話機
いつ頃からだろうか
人間と
接するのを
やめたのは
だから
いまだに
ピカピカ
シルバーの
ボディが
輝いている
それでも
電話機を
持っているのは
また
いつか
この電話機が
鳴るかもしれないと
信じ
待ち続けるから
ここに
ある
そして
また
人間の世界へ
戻れることを
願いながら
電話機を
持ち続ける

このまま

このまま
過ぎていくのは
悲しい
できれば
人間としての
充実感を
味わいたい
今は
毎日が
毎日が
無機質な世界
本当に
なにも
ない世界
神様が
いるなら
与えてくれ
人間を
無機質な
生き物ではなく
有機物の
人間を
与えてくれ

孤独

孤独の空間には
天井の
明かりしか
見えない
ただ
白々と
光を
当てているだけだ
明かりに
孤独だと
話しかけても
光として
返してくるだけ
この空間には
本当に
生きる場所なのか
わからない
しかし
今いる空間であることには
間違いない
そこが
自分の居場所か
この
孤独空間が