エンゼルケアとは、患者が亡くなった後に葬儀に向けて行う死後の処理や清拭、着替え、化粧などを行うことだ。
病院で亡くなる方が増えたため、その役目を看護師が担う場合が多くなっている。
故人や遺族の意向によってエンゼルケアを業者に依頼する場合や、家族ができることは家族で行うなど、遺族の意向を汲み取ることが大切だ。
エンゼルケアに関しては具体的な決まりやマニュアルはなく、各病院によって方法や順序などのやり方は異なる。
しかし、どの病院でも一番の目的としてあるのは、故人の尊厳を守ることだ。
できるだけ生前の元気な姿に近づけることが、自分では何もできない故人に対しての最後のケアとなる。
故人を生前と変わらぬ姿で送り出すことは、遺族にとっても故人に対しての気持ちが整理されて心のケアに繋がるのだ。
そのため、看護師は遺族の意向を大切にしながら、エンゼルケアを行わなければならない。
エンゼルケアは、遺族が納得し満足することが最も大事なことだ。
また、医療器具の撤去や傷口の処理、排泄物や胃の内容物などの処理は不可欠となる。
特に感染症を患っていた方に対しては、死後にも感染リスクがあるので、遺族や周囲に感染させないためにも適切な処置を施す必要がある。
これらすべては、死後2、3時間で起こる死後硬直の前に終わらせなければならない。
エンゼルケアは故人に対して重要なことだが、看護師にとっても故人や遺族にできる最後の重要な務めとなる。
このことは―エンゼルケアを紐解く―にまとめられているので、これを機にエンゼルケアについて詳しくなっておくのも悪くないだろう。