木の葉が風に揺れ、上空が落ちてきます。心地よい風が道を横切ります。
遠くから野鳥のさえずりが聞こえてきます。グループで飛んでいるようで、にぎやかなさえずりです。
足の長い蜘蛛が道を横切っています。「おっと、踏みつけないようにしなくっちゃ。」足下が気になりだしました。意外とこの足の長い蜘蛛が、あっちこっちで歩いているのです。
ひとりで山道を歩くと、否応なく自然の営みを肌で感じてしまいます。
「ん?」小枝のようなものを、蹴飛ばしてしまいました。
「ん、何だ?」
「うわっっっ、骨だ!」
「ヒヅメがついてる。それに、毛皮も残っている。うわっ、うわっ、うわっ、蹴飛ばしちゃった!」
「うわっ、大きさから見てこれは鹿の骨?」
肉はほとんどありません。残っているのは、足の骨と足の毛皮。残りはいったいどこへ行ったのでしょう?
私もこうならないように気をつけなくっちゃ。
急に周囲が静かになったかと思うと、森の奥から「ガサガサ」と大きな音。「イノシシか、鹿か、熊か?」恐怖心に襲われます。「そうか、こんなことがあるから熊よけの鈴が必要なのか!」
どうやら、ガサガサ音の原因は、枯れ枝が地面に落ちた音のようでした。
一安心ですが、熊に出会うと怖いので歌を歌うことにしました。歌は苦手です。誰も聞いていないはずなのですが、聞かれると恥ずかしいので次第に小さい声になります。今度、必ず熊よけの鈴を買います。
[次へ続きます]