先日、図書館ボランティアの方の
読みきかせを聞く機会があった。
読みきかせを
してくださった
作品のひとつが、
故 やなせたかしさんの作品
チリンのすず
だった。
映画化までも
されていたのに、
全く知らなかった。
今回初めて知った作品だ。
低学年向けの
読みきかせだったので、
まさかここまで
深い作品だとは
思わずに聞いていた。
かわいい挿絵の
絵本だなぁ。
楽しい絵本かな。
そう思って聞いていた。
クライマックスのシーンで、
ビリビリと
身体に稲妻が走った。
まさに青天の霹靂。
おおかみに
お母さん羊を
殺された子羊の
おおかみへの復讐。
彼らの心の動きや
生き方を通して、
命の重さや
愛情について
深く考えさせられる作品だ。
羊・おおかみ
どちらの行為も
生きるために
仕方のないこと。
生きる集団が
違うと
見方が変わる。
羊とおおかみとでは
全く違う。
これを私たち
人間に置き換えてみると、
生きる集団の違いとは
例えば国の違いや
信仰宗教の違いと
考えられる。
戦時の国では、
相手国は敵。
信仰宗教が違えば、
神とするものが違う。
それぞれの考え方、
思想が違えば
理解の仕方も変わる。
同じ国に生きていても、
私たち日本人は
戦時と平時では
全く違う。
何が正しいのか
時代によっても
違ってくる。
その時間を
必死で生きる者にとっては、
生きるために
しなくてはならないことが
違う。
それが正しいか
正しくないのか
考える余裕すら
ない場合もある。
私たちが経験していない
あの戦争を経験し、
戦後を生き抜いてこられた
やなせたかしさんだからこそ
描ける作品なのだ。
戦時中は自分が
していることが正義だと
錯覚して行動するので、
敵とみなした相手が
悪だという設定をする。
悪人を裁くことが
正義だと考え、
相手の命を
軽く考えてしまう。
命を奪うことには
罪を感じなくなってしまう。
繰り返すうちに
なんの疑いもなくなって
何も感じなくなってしまう。
戦争は正義と正義の
ぶつかり合い。
それぞれの立場での
都合の良い解釈による正義。
同じではないから
争うのだ。
それが正義の
紛いものだと
気づきもせずに…
いつだって
自分たちが正義だと
思っていることが、
本当に他の人にとっても
正義なのかはわからない。
冷静に相手の立場に立って
考えてみる必要がある。
平時を生きている
私たちだからこそ、
相手の立場で
ものを考える
ことができる。
この作品について
じっくりと考えて
感じることができる。
教育的な
反戦の絵本とは
全く切り口の
違う作品だけれど、
これは広い意味で
反戦のメッセージが
込められた絵本だと思う。
亡くなられた今でも
強いメッセージを
発し続けているこの作品。
私たちが子どもたちに
伝えていきたい絵本だな。
やなせたかしさんは
ずっとずっと
この正義について考えて
生きてこられたのでしょう。
だから
みんなの大好きな作品
アンパンマンで、
見返りを求めない
無償の愛と
ひとりでもがんばる勇気が
本当の正義だと
教えてくださっているのだ。
はっきりと
言葉にしてしまうよりも
重いメッセージ。
本当の正義ってなんだ?
人と人とが
いがみ合い
傷つけ合うのは
なぜなのか?
どうすれば
戦争はなくなる?
平和ってなんだ?
じっくりと考える
きっかけをくださった。
どうしたら、いつになれば皆が手をつなぐことができるのだろうか?
正義ってなんだろう。
自分にとっての正義なんだろうけど、相手にとっても正義なんだろう。
うーん。
難しい問題です。
だからこそ、
ひとりひとりが
いつも大切な人を思い、
出会う人の思いを
感じることが
大事だなと思います。
みんなの正義は
一致することが
難しい。
みんなが
困っている人に
やさしさをくばるだけでも
すこしずつ
世界は変わっていく
のではないかな。