不思議な導入部分といい、舞台となる機械都市のイメージ創りにかなり力を入れた舞台でした。
お一人おひとりの役者さんが魅力的で素晴らしく、とても惹き付けられました。おじさんワンコもとても良かった。もっとお芝居シーンを見せて欲しかったなぁ。でも踊りの上手い方がキャスティングされていたので、凝ったフォーメーションの振り付けのシーン等お好きな方には見所かと思います。
肝心のストーリーは原作をご存知無い方には理解出来たのだろうかと、ちょっと不安。
私はその昔「少年少女世界の名作」全集で読んで、大人になってから夜更けの映画番組でジョルジオ・モロダー版の映画に出会いました。フリッツ・ラング監督によるモノクロサイレント映画で「SF映画の原点にして頂点」と評されている作品を、ジョルジオ・モロダーが一部カラー化し、ロック調の音楽を加え90分に編修したもの。
最先端の機械都市の特権階級と、下層に住む労働者階級が対比され、マッドサイエンティストにより生み出されたアンドロイド・マリアが暴動を扇動し全てを壊して行く様子が描かれています。その後、若者達が心を許しあって世界を立て直して行くという筋書きもあったとは思いますが、そちらはまるで思い出せません。
自堕落な生活や、疲れ切った労働者の群れ、追い詰められる本物のマリア、アンドロイド・マリアのアンドロイドたる表情。底知れぬ怖さのある映画でした。
このお話をこの時代に選んだ事。そこが一番製作者の伝えたい事なのかもしれません。
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