今朝は8時半ごろ、もっと遠くのところで二度ほど鳴いて、もう鳴かない。
あれから夕方までチェーンソーの音が聞こえていた。
自分勝手に家のウグイスという位置づけにいたのが、遠くへ行ってしまったから、喪失感がある。
スパッと木の高さの半分も切られてしまった木々か、
ウグイスが逃げたことか、
どちらが腹立つのか、考えてみた。
木かもしれない。
そう思えるのは、30年近く前の桜の木の伐採があるのかも。
当時は会社の社宅に住んでいて、
周りは桜の木だらけ、いくつかある小さな公園にも集合住宅にも桜がいっぱい。
桜と桜がトンネルみたいになってその下で自然と人が集まって、なごやかに朝に夕に色々な話をした。
ある日、
朝からチェーンソーの音がしていたが、頭の隅でうるさいなぁと思いながらも他の作業をしていた。
ふと、あれ?チェーンソーの音がいつまでもしている。
ようやく窓から下を見ると、
ちょうど、あの桜のトンネルになった所を数人の作業員が伐採していた。
え?どうして?
きっとこれは何かの間違いだ。
よりによって一番見事な桜の木を!
窓から「すみませ~~ん、ちょっと!すみませ~~ん!」叫んだ。
しかし音がうるさく聞こえてなさそう。
急いで下まで行き、
「すみません!すみません!ちょっと、すみません!」
気付いた作業員の二人がチェーンソーを止めて、何事かとびっくりしている。
「すみません、桜を切らないでください。」
「え・・・」
「桜を切らないでください」
「はぁ・・・切るように言われたんですけどね」
「ちょっと待って下さい!」
社宅の今月の当番の人がちょうど知り合いだったので、部屋の呼び鈴を押し、
「桜を切ってるので、切らないように会社の人に電話して!」
「えええ?分かった」
当番のノートに書いてある電話番号を掛けて、担当の人が出ると、
「桜を切ってるんです!桜を!どうして切ってるんですか?すうさんが言ってます!」
「はい、すうさんが桜を切らないでと言ってます!!」
・・・・すうさんちょっと引く。
社宅でのもめ事は夫の信用問題・・・
当番の友だちの電話でちょっとしまったかな?と思った。
友だちもわかってるけど、言えないことだったのね。
私の家に直接に電話するから、自宅にいて下さいと言う回答があり、
やっちまったかなぁ・・・と思いながら部屋に戻って、電話を待った。
一時間ほどして、電話があり、
「あーもしもし、お世話になっております○○ですー」
「はいすみません。」
「あー桜は切らないで、中止しますのでーよろしくー」
「はぁ。」
「じゃぁ、どうも」
「はぁ・・・」
へ?そんなに簡単に?
しまった!お礼も言ってない!
引き上げて行った作業員の人たち。
近所の人は桜が残って良かったと言う人が大半だった。
だけど、部屋の窓のすぐ横に桜がある人は、桜につく虫が気持ち悪くて憂鬱で駆除を何度もしてもらっているが、本音は切ってほしい。
会社も駆除や手入れが大変なのだろう。
私らしくない出しゃばったことをした。
ほんとうにやっちまった感。
夫にもすぐその日に耳に入って、夜、帰ってくるなり
「桜の木、止めたらしいなー」
と苦笑いした。
私には苦笑いだけで済んで良かった。
会社でどんな話があったのか言わない夫。
10年後、桜の木はきれいさっぱり全部無くなり、ツツジがこじんまりと植えてあります。
その場所に行くことはない。
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