昭和22年10月28日に出た杉田劇場の広告。市川美代子一座が登場するという。久々の女剣戟とあるので、前にも杉田劇場で公演していると思われるが、その時の案内は見当たらない。
今回は10月28日から11月4日まで1週間の公演だ。演目は書かれていないが、こんなキャッチコピーが載っている。
義理と人情に降らす剣の雨 恋慕しぐれ女やくざの剣、涙、笑の股旅道中記
市川美代子がどんな役者だったのか、ネットで検索しても何もでてこない。唯一ヒットしたのが、昭和28年の映画「剣劇女優とストリッパー」に出演しているという情報。お万の乾分 お吟の役で出演していたそうだ。
ところで、杉田劇場の広告の右側2個目には「湘南映画(劇場)」の広告が載っている。それによると、11月1日から3日まで市川門三郎一座が出演していたことが分かる。
市川門三郎一座といえば昭和21年6月に杉田劇場に初登場してから頻繁に公演を行っていた劇団だ。とくに大高ヨシヲが事故死してからは連続で出演していた。その劇団が11月1日から3日まで湘南映画劇場に出演したあと、5日からは杉田劇場で興行を行ったことが分かる。
冒頭に掲げた広告の下に、もう一つ「杉田劇場」の案内が出ていた。こちらには当日の演目が書かれている。
・現代劇「母の心」 一景
・新舞踊
・剣戟女弁天小僧 五場
まず現代劇をやったあと踊りを披露し、そのあと剣戟を見せるという構成である。
なぜ、杉田劇場が2つも広告を出していたのかと不思議に思ったが、よくよく見ると下段は各館の独自広告ではなく、どうも新聞社の映画・劇場案内だったと思われるのだ。同じ規格でいくつかの各館が横並びになっている。思うに、新聞社が選別して掲載したのではないだろうか。
拡大してご覧になっていただきたい。南区高根町にあった「オリエンタル劇場」では大高ヨシヲ亡きあとの暁第一劇団が出演していた。
この暁第一劇団の「暁」がずっと気になっている。なんだろう、「暁」って。なんだか戦時中の「暁部隊」を思い出させるのだが、関係は……?
by うめちゃん
座長が亡くなってからも皆で継続していったようです。
大高の替わりは誰がやっていたんでしょうかね。
昭和22年はまだまだ実演が元気ように感じられますね。