夜になると、鈴虫の、鳴き声が、聞こえてきます。
空気を、やさしくゆらすような、とても、きれいな、音色です。
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美しい音色を聞いている。かもしれない背中。
小学生のころ、ともだちに、鈴虫の赤ちゃん?を、もらって、
大事に、育てていました。
ところが、逃げてしまって、さがしても、みつからず、
自分のせいで、死なせてしまうと、泣きました。
その後も、気にかけていましたが、
結局、みつかりませんでした。
外に逃げて、生きていますようにと、お祈りしました。
それから、半年以上たった、ある日、
黒い虫が、ぴょーんと、どこかから、飛び出してきました。
それは、鈴虫でした。
逃げたときは、小さなちいさな、サイズでしたが、
その鈴虫は、もっと、大きかったです。
私は、あのとき、逃げた、鈴虫だ!と、思いました。
季節はずれに、姿をみせた、鈴虫。
どうやって、生きていたのでしょうか。
わからないし、なんの根拠もないけれど、
私は、あのときの、鈴虫だと、思いました。
残念ながら、すぐ、逃げてしまいましたが、
前のときの、悲しい後悔より、なんだか、うれしくて、
出てきてくれて、ありがとうと、思いました。
あとから思うと、その鈴虫が、あらわれる数日前に、
家のどこかで、リーンリーンと、鈴虫の鳴き声が、聞こえていたんです。
こんな時期に、聞きまちがいだと、思っていたら、
ひょっこり、姿を、みせてくれました。
今となっては、その鈴虫が、あのとき逃げた鈴虫と、
同じかどうか、わかりませんが・笑
毎年、リーンリーンと、鈴虫の声を、聞くと、
このことを、思い出します。
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「でも、いまは、むしこわいのにゃ?」「うん・汗」