SWORD中央ラボ分室

『アストロミゼット』HPブログ出張版
自企画の紹介が主ですが「小サイズ可動フィギュア」の可能性も広く研究しています。

【フォトストーリー】アーリータイプ編・2(2000年12月~2001年10月)

2007-04-27 04:53:52 | Photo-Story
『ベータミゼット開発計画』は着実な成果を上げつつあった。
試作された『素体』と称されるミゼットの精神体の器は、最新のサイバネティック技術によって本来のミゼットの姿と同じ僅か11cmのサイズに設計されており、これを依代として、内部には一体分のデータ量の青い粒子『アストラル』が埋め込まれた。
一見一様の固体状に形成されたパーツには最新の3Dスキャナ技術を応用してナノ単位のナーブパラグラフが何層にも織り込まれ、アストラルからの信号を身体各所に伝達することができる。理論上ではこれにより覚醒したアストラルは大気中に霧散することなく素体と融合し、ミゼットとして構成されるはずであった。
果たしてその試みは成功し、覚醒実験第3号素体が初のベータミゼットとして覚醒を果たしたのである(余談ではあるが実験第1号は素体を待たぬため先の実験で霧散、消滅している。また素体を利用した実験第2号は記録が存在していない)。


覚醒実験の成功から1ヶ月、その後連日のように覚醒素体による本格的な稼動試験が繰り返されていた。
試作素体にはその活動をバックアップするためいくつかの機械的な機能が追加され、背面と肩部には大気中のイオンを操作しその偏差によって目に見えないレールを形成するためのスタビライザーが増設された。これは本来のミゼットが有していた能力とされ、空中での方向転換や速度制御を行う一種の飛行能力(正確には滑空制御能力)である。
また脚部には駆動車輪が組み込まれている。これは本来のミゼットには無い機能であるが、人間サイズの不自由多い活動環境での効率的な単独移動手段として設計されたものであった。
いずれも高い機動性を遺憾なく発揮し、試作素体は人造とはいえミゼットと称するに遜色の無いものとなったのであった…。


素体の開発計画が順当に進行していく中、だが一つの深刻な懸念事項が表面化していた。試作素体に覚醒したミゼットの生命には人格と呼べるほどのパーソナリティーに乏しく、まるでロボットのように感情表現が欠如していたのである。
記録によるところではミゼットは人間と変わらぬ感情を持っていることを考えると、これは完全な覚醒とは言えないのではないか…?
開発の中心人物であるハラ教授は、その原因がアストラルの粒子に「感情」や「自我」、「記憶」といった「人格」に関するデータが丸々欠落しているためと考えていた(この内、「記憶」に関しては行動に関する記憶だけは残されている。これはマテリアルソルジャーとして利用する際行動に関する制御をミゼットの因子に依存しようとしていたためと考えられる)。
そのためこれらの問題に対応するため再設計された素体には改めて『ベータミゼット』の名が冠され、稼動試験のため先行量産されていた素体はこれと区別するため『アーリータイプ・ベータミゼット』と呼称されることとなったのである。



ベータミゼットの量産後、稼動試験を終了したアーリータイプ達は既に活動を開始していたベータミゼットを補佐するため世に出てゆくことになる。だがそれはこの時点よりももう少し先の話である…。

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