豆日記

小豆原一朗の日記

ライブスケジュール&レコーディングの記録

2024年10月27日 | 豆日記

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クオーツ星のレコーディングが終わった。とてもスムーズに。
録音はいつものWarter Pump Studio

1年ぶりに会うエンジニアの川端さんは開口一番

 

「まめくんの音楽って
なんで話題になんないのかなぁ」



ズドーン

 

「面白いことやってるのにねぇ」と川端さん

 

ま、確かにバズってくれとまでは言わないが、

近所のパチンコ屋に入り浸る老人たちが毎ライブ来てくれたら…

とか、
そんな低い志だからダメなのか

レコーディングはいつも通り川端さんとメンバーで雑談しながらスタート。
ニッタパンがいると話が脱線して、どんどん雑談が長引いてしまう。
その中で「前やった“笛吹きおじさん”の1発録りの雰囲気よかったよなー」という話に。

前作『ぱくぱくぱく』はきっちり録った方が映える曲が多かったので、各パート録音が別々だった。
今作はライブ感を意識した、バンドの呼吸が伝わる作品にする方向に。
大半の曲がドラム、ベース、アコギを同時に録音(ボーカルと重ねギターは後録り)

トニーはとても上手いドラマーだが、
人間なので0.01秒くらいどうしてもずれる。
メトロノームみたいにかっちり一定のリズムは刻めない。

それがバンドの独特のスリリングなグルーヴとなる
3人ともクリックは道しるべ程度に小さくして、バンドの呼吸を意識した。

それぞれブースは別だけど、僕のブースの窓からはトニーの叩いてる姿は見える。
これは非常がやりやすい。
普段は歌があるからドラムをがっつり見ることはできないが、
まるでカンニングしてるようだ。

前回のレコーディングで学んだ「必要以上に追わない」という志を胸に、
良さげなテイクが録れたら、次へパッパッと行く。

しかし、毎回どこかで「沼」が訪れる。
何故か急に良いテイクが録れない時間だ。
大して難しくもない曲でトニーの足(バスドラ)が急に動かなくなった。
あまりミスのないトニーには珍しいことだ。

こんな時はどんだけ足掻いても無理なので、休む。
川端さんやメンバーと全く関係ない談笑したり、ご飯食べたり。
そのあとブースに入ってみたら、あら不思議。

さっきまで出来なかったことが出来てたりする。
やはり、演奏ってのはリラックス&ノーストレスが一番良いらしい。

予定じゃ2日間でリズム隊だけのつもりだったが、
アコギも録ってベーシックのオケがほとんど終わったのは気持ち的に楽だ。
とはいえ、
ほぼ全部の上物を扱う3ピースのボーカルギターはこっからがやること多い。

以降は川端さんと俺のマンツーマン
自宅から1時間半かけてWarter Pump Studioへ1人で通う日々。

レコーディングの前日に家で簡素なプリプロをとって、ボーカルのニュアンスを掴んでいく。
前までピッチの確認とかブレスの位置とかくらいまではやってたけど、
息づかい、感情の持ってき方まで考えた。
それを行きの電車で聴きながら、「やっぱりこっちが良いな」とか「これはないな」とか「もっと大袈裟にしてみよう」とか考える。
この数日はずーっと自分の歌い方と向き合った。

多分、これプロのシンガーとして常識なのだと思うけど。。。
俺は自分の興味がないことには、
とにかく面倒くさがり屋なのだ

しかし、過去の録音を経て学んだ。
面倒くさいことをやらなかったら
もっと面倒くさいことになるぞ!
と。

愚かな過ちを幾度と繰り返してきた
ノープランでやって来て、ダメ出しされて、へこんで、
また1から川端さんとボーカルのニュアンスを組み立てて時間かけて費用がかさんで…
いい加減学んだ。

そのおかげもあって、非常にスムーズにボーカルが録れ、予定よりも1日程削減出来た。
飯を食う時間も忘れて、僕の体重も削減されていった(自己最低の47Kg)

今回は1曲まるまる通してオッケーが結構多かった。
これにはいつも厳しい川端さんも驚いてた。
「無理だと思ったけど、一発でいけたねぇー!」
これは経費という点でも、オフの日が出来るという点でも喜ばしいことだ。
それによってモチベーションが上がり、さらにレコーディングは良い波に。

と、3日目くらいまでは順調だったが、
重ねギターの段階になって
「沼」というか、「罠」にかかる。

気持ち悪りぃギター問題

所謂、「あたってる」とか「不協和音」とか言われるやつ。
俺は重ねギターを作る工程で結構やらかす。
相対音感の鋭い川端さんは「なんでこれで違和感なくやれるんだよ…気持ち悪い!!」と悶える。
多分、ジャイアンのリサイタルを聞かされるスネ夫の状態だろう。

だが、理論上はありえないけど、あり、な時もある。
ベンジーのギターなんて結構アウトしてるけど、それが逆に良かったりする。
理屈じゃないけど、この人ならあり!みたいなギリギリのラインがあるのだ。
こういう時に川端さんのジャッジメントに頼る。

これは普通のバンドならなしだけど、クオーツ星ならありか?
純粋にかっこいいのか?ダサくないか?

昔からだが、エンジニアでもあり、プロデューサー的な役割もやってくれてるのだ。
もう、ほぼ第四のメンバー状態である
ドラえもんにおけるセワシである
そんな絶大なる信頼をおける川端さんの審査の結果、

2曲がダメ→宿題

翌日、
1曲オッケ→1曲ダメ

「まめくんって普通出来ないことサクッとやれるのに、そこらのバンドマンが出来ること出来ないよね」

ズドーン

Marvin Gayeの名曲“What's Going On”でJames Jamersonは人差し指一本でベースを演奏し、
同曲のレコーディングでは寝っころがりながら演奏していたそう

Adeleの“Melt My Heart to Stone”はマイクがオフになってると思い込んで歌ったボーカルが採用されたらしい

俺もそんなスタジオ逸話残してみたい!!

が、素晴らしき先人たち(アデルは完全に年下)はしっかりした下地があるのだ。

音楽の専門学校も行ってないし、音楽理論をちゃんと学んだこともない。
例えるなら六法全書もろくに読んだことない弁護士だ…大問題だ。

「いかんなあー」とは思いつつ
そういうのは面倒くさくて(メンバーに任していた)
ご案内の通り、そういうツケがレコーディングでぶち当たるのである。

川端さんとの苦悩と試行錯誤の末、なんとかギターフレーズが完成。
出来上がったフレーズは音楽理論的にはアウトだが、
「もはや俺も分からないけど、これはあり!なんか良い!!」というものに。
もうこの時点で俺は何がなんなのかよく分からなくなってた。
(とりあえず合格点をもらったので、喜んでおく)

それでも過去に比べてこういう問題は非常に少なかった方だと思う。
これもレコーディングを積んで経験値が上がってるのか。

最終日、メンバーみんなで重ねの試しやコーラス録り。

川端さんの本職はドラムで一線のスタジオミュージシャンだ。
凄まじいテクニックでコンガやパーカッション、タンバリンを添えてもらった。
その場でニュアンスを掴んで「ここはこうしたい」とお願いしたら、すぐ出来てしまう。
録音データの波を見ると、機械みたいに粒が綺麗で、川端さんの凄さをまざまざと見せつけられた。

その後、トニーに難しいグロッケンを入れてもらったり、
トニーがハモリのイップスみたいなのに陥ったりと、トラブルはあったものの、
予定時刻よりも早く終了。

打ち上げはいつも通りラーメン屋へ。
終電気にすることないし、飲食店もやってるし、早く終わるって良いことしかない。

録音ものが終わっただけで、川端さんの仕事はたんまりある。
ボーカルや楽器隊の細かい直し、マスタリング作業など。

レコーディングの毎に川端さんは言う
「まめくんの音楽は情報量多すぎて、本気で向き合うと発狂しそうになる」

でも、川端さんは言う
「誰も気づかないと思うけど、我ながらすごい頑張ってる

続けて川端さんは言う
「でも、売れねぇーんだよなぁ!!!」

 

音源

買ってね
とても良いと思いますんで

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