こんばんわんこそばんそーこー!
瀬戸内を拠点に活動するAKB48の姉妹グループ、STU48が、13日に2枚目のシングル「風を待つ」を発売した。
発売日には選抜16人全員がそろい、川崎市のラゾーナ川崎で発売記念イベント、ハイタッチ会を行った。
今作は本来、昨年8月に発売される予定だったが、拠点の広島などを襲った西日本豪雨災害の被害状況を鑑みて、発売が延期されていた。約1年ぶりのリリースに、キャプテンの岡田奈々(21)は「延期もあって、シングルのリリースが延びてしまったんですけど、こうしてリリースできて、たくさんの方々の前で歌えることを幸せに思いました」と胸をなで下ろし、「この曲がたくさんの方に愛されるようになってほしい」と、願いを込めた。
この日、発表されたオリコンデーリーチャートによると、初日だけで25・7万枚で1位に初登場した。週間では、30万枚に迫る大ヒット。昨年1月に発売したデビューシングル「暗闇」の週間売り上げが13・6万枚だから、この1年で売り上げを倍増させたことになる。
この大ヒットを、天国のあの人はどんな思いで見ているのだろう。キングレコードのYBCクリエイティブ本部・本部長代理を務め、昨年8月、脳幹出血で急死した紺田大輔さん。45歳という若さだった。死去の数日前、握手会場のバックヤードで会ったばかりだった。トレードマークの麦わら帽子をかぶり、自転車に乗る紺田さんに、「ども!」と軽くあいさつを交わしたのを覚えている。
紺田さんは、48グループの制作陣でも、指折りのアイデアマンだった。09年当時にレコード会社との契約がなかったAKB48に興味を持ち、契約に尽力した。現在の握手会システムを考案し、「会いに行けるアイドル」という48グループの最も大事なコンセプトを作り上げた、ブームの「火付け役」の1人だ。最近ではAKB48だけでなく、STU48の制作も担当していた。総合プロデューサー秋元康氏からも全幅の信頼を置かれていた、いわば右腕的存在だった。
その紺田さんが最後に愛情を注いだのが、STU48だった。夏に発売予定だった表題曲のミュージックビデオ(MV)の監督に起用されたのは、三石直和監督。演者を追い込むことで好演技を引き出す、厳しい監督だ。同監督の起用は、実は紺田さんのアイデアだった。「STU48には、ひと皮むけてほしいから、厳しい監督さんに鍛えられた方がいい」。豪雨の影響で、制作スケジュールはいったん白紙に戻ったが、秋元氏が「最後だから、紺田が作りたかったものを作ろうよ」と、延期後もコンセプトを変えずに作ることが決まった。
撮影は広島県尾道市で行われることが決まったが、岡田は撮影前の監督との面談からへこんでしまったという。メンバーに渡された資料には、「覚悟してください」という監督の一言。岡田は「これはただごとじゃないMVだなと思いました」と気を引き締めて臨んだ。
ドローン空撮によるワンショット撮影で、1つのミスも許されない緊張感だった。撮影はまる2日間かけ、全10テークが撮られた。メンバーたちは、100段もの石段を、踊りながら、全力で駆け上がった。酸素ボンベが用意されるなど、精神的にも、肉体的にも厳しい現場だった。雨も降って、転ぶメンバーが続出した。紺田さんが予想した以上に、過酷な環境だったかもしれない。そんな中で、でき上がったのが「風を待つ」のMVだった。
公開されたMVを見ると、踊りきった16人は肩で息をしながらも、充実した笑顔を見せている。「やったー!」。抱き合いながら喜びの声を上げる姿に、グッと心をつかまれる。そこには、演技ではない、リアルな彼女たちの息づかいが表現されているように思えた。
報道陣に配られたMVの紙資料には、「限界を超えて駆け上がれ」というメッセージが記されている。MVのキャッチコピーではあるが、記者には、紺田さんからSTU48への最後のメッセージに思えてならない。
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シングル「風を待つ」発売記念イベントを行ったSTU48
瀬戸内を拠点に活動するAKB48の姉妹グループ、STU48が、13日に2枚目のシングル「風を待つ」を発売した。
発売日には選抜16人全員がそろい、川崎市のラゾーナ川崎で発売記念イベント、ハイタッチ会を行った。
今作は本来、昨年8月に発売される予定だったが、拠点の広島などを襲った西日本豪雨災害の被害状況を鑑みて、発売が延期されていた。約1年ぶりのリリースに、キャプテンの岡田奈々(21)は「延期もあって、シングルのリリースが延びてしまったんですけど、こうしてリリースできて、たくさんの方々の前で歌えることを幸せに思いました」と胸をなで下ろし、「この曲がたくさんの方に愛されるようになってほしい」と、願いを込めた。
この日、発表されたオリコンデーリーチャートによると、初日だけで25・7万枚で1位に初登場した。週間では、30万枚に迫る大ヒット。昨年1月に発売したデビューシングル「暗闇」の週間売り上げが13・6万枚だから、この1年で売り上げを倍増させたことになる。
この大ヒットを、天国のあの人はどんな思いで見ているのだろう。キングレコードのYBCクリエイティブ本部・本部長代理を務め、昨年8月、脳幹出血で急死した紺田大輔さん。45歳という若さだった。死去の数日前、握手会場のバックヤードで会ったばかりだった。トレードマークの麦わら帽子をかぶり、自転車に乗る紺田さんに、「ども!」と軽くあいさつを交わしたのを覚えている。
紺田さんは、48グループの制作陣でも、指折りのアイデアマンだった。09年当時にレコード会社との契約がなかったAKB48に興味を持ち、契約に尽力した。現在の握手会システムを考案し、「会いに行けるアイドル」という48グループの最も大事なコンセプトを作り上げた、ブームの「火付け役」の1人だ。最近ではAKB48だけでなく、STU48の制作も担当していた。総合プロデューサー秋元康氏からも全幅の信頼を置かれていた、いわば右腕的存在だった。
その紺田さんが最後に愛情を注いだのが、STU48だった。夏に発売予定だった表題曲のミュージックビデオ(MV)の監督に起用されたのは、三石直和監督。演者を追い込むことで好演技を引き出す、厳しい監督だ。同監督の起用は、実は紺田さんのアイデアだった。「STU48には、ひと皮むけてほしいから、厳しい監督さんに鍛えられた方がいい」。豪雨の影響で、制作スケジュールはいったん白紙に戻ったが、秋元氏が「最後だから、紺田が作りたかったものを作ろうよ」と、延期後もコンセプトを変えずに作ることが決まった。
撮影は広島県尾道市で行われることが決まったが、岡田は撮影前の監督との面談からへこんでしまったという。メンバーに渡された資料には、「覚悟してください」という監督の一言。岡田は「これはただごとじゃないMVだなと思いました」と気を引き締めて臨んだ。
ドローン空撮によるワンショット撮影で、1つのミスも許されない緊張感だった。撮影はまる2日間かけ、全10テークが撮られた。メンバーたちは、100段もの石段を、踊りながら、全力で駆け上がった。酸素ボンベが用意されるなど、精神的にも、肉体的にも厳しい現場だった。雨も降って、転ぶメンバーが続出した。紺田さんが予想した以上に、過酷な環境だったかもしれない。そんな中で、でき上がったのが「風を待つ」のMVだった。
公開されたMVを見ると、踊りきった16人は肩で息をしながらも、充実した笑顔を見せている。「やったー!」。抱き合いながら喜びの声を上げる姿に、グッと心をつかまれる。そこには、演技ではない、リアルな彼女たちの息づかいが表現されているように思えた。
報道陣に配られたMVの紙資料には、「限界を超えて駆け上がれ」というメッセージが記されている。MVのキャッチコピーではあるが、記者には、紺田さんからSTU48への最後のメッセージに思えてならない。
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