北極星に導かれた旅人
時の落とし物
砂に隠れて
ひっそりと佇む
ピラミッド
誰にもあばかれなかった
奇跡の墓
スフィンクスは
あくびをしながら
旅人を通す
「門番の役割は退屈だ」
「おまえは主に仇なすことはないだろう」
ピラミッドの内部は
胎内に入り込むような
不思議な懐かしさを感じる
壁には
人
動物
植物
精霊
踊り惑い飛び跳ね
無表情な大きな目で
旅人を見ている
ファラオの間
黄金で飾られた棺に
ミイラのファラオが
腰かけていた
「一瞬なのか永遠なのか」
シナモンの香り
吹くはずのない
一陣の風
パンの笛の音
旅人は星の海に沈む
これは幻?
星の波が引いていく
ピラミッドを後にする
旅人の姿
謎めいた笑みと
微かなシナモンの香り
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