晩夏の朝。
さやかは、ベッドに丸まっていた。気だるい体を横たえたままだ。カーテンの隙間から、朝の光が差し込む。昨夜、猛威をふるった台風は過ぎ去ったらしい。
今年の夏は、厳しい夏だとさやかは思った。酷暑と豪雨が交差する夏。あちらこちらに傷跡が残り
、それが癒えないままに、次の災厄がくる。
そんな感じだった。
こんな時に、自然の大きさを感じる。人間はまったく太刀打ちできない。過ぎ去るのを祈るしかないのだ。さやかは、地球に住まわせてもらってるんだなと思う。殊勝な気持ちになった。
日々に追われて生活してる時には、気付かないこと。考えもしないこと。
この気持ち、忘れてはいけないけれど、すぐ忘れてしまうのだろう。さやかは、少し皮肉げに思う。崇高で敬虔な思いも、日常の中で擦り切れてしまうものだ。
さやかはが、寝返りをうった。その拍子に、体にかけていた上掛けがずれて、昨日の名残があらわになる。
さやかの鼓動がはやくなる。隣は空っぽで、今この部屋には誰もいないのに。彼の香りが、自分の中に満ちてくる。目をつぶり、彼の感触を思い出す。それは、脳の奥底にある本能を引っ張りだす。
さやかは、風の唸りと嵐の轟きと甘い吐息を感じた。恐怖と快楽の奇妙なうねり。さやかの肌の隅々まで、朱く染まる。
そんな動物からの記憶を振り払うかのように、さやかは勢いよく起き上がる。
頭を振って、カーテンを開ける。まばゆい光が、部屋に満ちる。
さやかは、部屋着を身につけ、伸びをする。
今日は、丁寧に葉っぱからアイスティーを作ろう。ダージリンを使おう。時間はかかるけれど、心を込めて。
動物から、人間に戻るために。
さやかは、ベッドに丸まっていた。気だるい体を横たえたままだ。カーテンの隙間から、朝の光が差し込む。昨夜、猛威をふるった台風は過ぎ去ったらしい。
今年の夏は、厳しい夏だとさやかは思った。酷暑と豪雨が交差する夏。あちらこちらに傷跡が残り
、それが癒えないままに、次の災厄がくる。
そんな感じだった。
こんな時に、自然の大きさを感じる。人間はまったく太刀打ちできない。過ぎ去るのを祈るしかないのだ。さやかは、地球に住まわせてもらってるんだなと思う。殊勝な気持ちになった。
日々に追われて生活してる時には、気付かないこと。考えもしないこと。
この気持ち、忘れてはいけないけれど、すぐ忘れてしまうのだろう。さやかは、少し皮肉げに思う。崇高で敬虔な思いも、日常の中で擦り切れてしまうものだ。
さやかはが、寝返りをうった。その拍子に、体にかけていた上掛けがずれて、昨日の名残があらわになる。
さやかの鼓動がはやくなる。隣は空っぽで、今この部屋には誰もいないのに。彼の香りが、自分の中に満ちてくる。目をつぶり、彼の感触を思い出す。それは、脳の奥底にある本能を引っ張りだす。
さやかは、風の唸りと嵐の轟きと甘い吐息を感じた。恐怖と快楽の奇妙なうねり。さやかの肌の隅々まで、朱く染まる。
そんな動物からの記憶を振り払うかのように、さやかは勢いよく起き上がる。
頭を振って、カーテンを開ける。まばゆい光が、部屋に満ちる。
さやかは、部屋着を身につけ、伸びをする。
今日は、丁寧に葉っぱからアイスティーを作ろう。ダージリンを使おう。時間はかかるけれど、心を込めて。
動物から、人間に戻るために。
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