次の日の昼休み。いつものように俺は食堂にいた。澤部さんが、俺の前の席にすとんと座った。水色のトートバッグを持っていた。そのバッグから本を取り出した。俺に本を手渡す。
「昨日言ってた本。これなら読めると思うんだ。」
朱赤の表紙。金の文字で、題名と作者が載っていた。『南総里見八犬伝』曲亭馬琴作。ずっしりと分厚い本だった。俺は本を開いた。古びた本。茶けた紙に細かい字で、二段組で書いてあった。俺は慌てて本を閉じた。読み切る自信がなかった。
「俺、読めないかもしれません。」
澤部さんは笑った。
「それはそれでいいよ。面白くないのに、無理して読む必要ないし。ただ、私の感覚だけど、この現代語訳は読みやすいと思うんだ。わかりやすいし、適度にはしょってるし。」
「え、本当はもっと長いんですか。」
「長いよ。二十八年間かけて書かれた超大作だから。それに、くどいし、説教くさい。作者の馬琴は、偏屈な頑固親父だったみたいだよ。」
「へえ。どんな内容なんですか。」
「今でいうと、ファンタジーとアクションと戦隊ものとラブロマンス、その他もろもろがつまった伝奇ロマンてとこかな。」
「意味がわかりません。」
「読んでみたら、わかるよ。」
「昨日言ってた本。これなら読めると思うんだ。」
朱赤の表紙。金の文字で、題名と作者が載っていた。『南総里見八犬伝』曲亭馬琴作。ずっしりと分厚い本だった。俺は本を開いた。古びた本。茶けた紙に細かい字で、二段組で書いてあった。俺は慌てて本を閉じた。読み切る自信がなかった。
「俺、読めないかもしれません。」
澤部さんは笑った。
「それはそれでいいよ。面白くないのに、無理して読む必要ないし。ただ、私の感覚だけど、この現代語訳は読みやすいと思うんだ。わかりやすいし、適度にはしょってるし。」
「え、本当はもっと長いんですか。」
「長いよ。二十八年間かけて書かれた超大作だから。それに、くどいし、説教くさい。作者の馬琴は、偏屈な頑固親父だったみたいだよ。」
「へえ。どんな内容なんですか。」
「今でいうと、ファンタジーとアクションと戦隊ものとラブロマンス、その他もろもろがつまった伝奇ロマンてとこかな。」
「意味がわかりません。」
「読んでみたら、わかるよ。」
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