天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

地上三センチの浮遊

2017-09-03 21:10:11 | エッセイ
『秋の夜長に』

暑かった夏が少しずつフェイドアウトしていく季節となりました。

熱気が夜も動くことなく、寝返りをうってばかりいたのが嘘のようです。

一年のうちで一番、夜を愛でやすい季節だと思います。
(夜を楽しむ季節は、夏ですが、ゆっくり味わうには、秋がふさわしいのではないでしょうか。)

ようやく空気が、動きはじめました。木々がざわざわと話をしています。

まだ、秋のはじめなので、虫の鳴き声もぽつりぽつりですが、それも心地よいものです。

何より、乾いた涼しい空気が、身も心も軽くします。

夏に溜まった澱むような「気」が、身の内から出ていくような気がします。

月は、清らかだったり、仇っぽかったり、色や光の加減で、違った顔を見せます。潮の満ち引きによっても、違うのでしょう。

暑さで、沸騰していた頭もクールダウン。考えることも増えることでしょう。

ただ、夏の燃えるような生命力は、徐々に消えていきます。そこに一抹の寂しさを感じます。

季節の移ろいは、消えゆくものと現れるものとの葛藤を見せてくれます。

それは、興味深いものでありながらも、心が揺れ動くものでもあります。





黄昏時の影

2017-09-03 18:21:14 | 
輝く季節は過ぎた
日はただ沈むばかり

はやく訪れる夕暮れ
日の名残りは留まる

いっそ

夜が来て欲しい

すべてが
黒く塗りつぶされればいいのに

青く霞む瀕死の空が
厭わしい

私の
全てを表しているようで

身悶えしたくなる

月は
褪せた空に浮かび

鳥は
ねぐらに向かって飛ぶ

私の黒い髪は

白い髪がまじり

私の白い腕は

黒いしみがまじる

若い娘の美しさに

狂おしく妬み

我が身の醜さに

狂おしく慄く

浅ましく
凄まじい

我が身の業

自らばかりを

可愛がり

そして

今の憂き身

私は静かに嗤う

それは

鬼女の笑み