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ヒューマン・ライツ・ウォッチ ウェストゲートとソマリアでのアルシャハブによる攻撃

特報:ウェストゲートとソマリアでのアルシャハブによる攻撃

2013年10月1日

この10日間、ナイロビのショッピングモール、ウェストゲートからの恐ろしい映像と報道を見て、ケニアの隣国、ソマリアでの沢山の記憶を思い出した。今年4月にアルシャハブ民兵は、モガディシュの主要な裁判所施設を襲い、一般市民少なくとも30人を殺害した。攻撃が明らかになり、私は裁判所の中にいた知人の弁護士2人の安否を、不安に駆られながら待っていた。

情報-並びに恐ろしい写真-が徐々に漏れて来る中、今まさに攻撃されている裁判所内で、2人の弁護士が、政府によってでっち上げられた容疑から、人々を果敢に弁護していた様を、私は思い起こしていた。結局、2人は殺害されてしまったのだが。

不幸にもモガディシュ住民は、以前からそのような恐怖を極めて多く経験してきた。

ソマリア南部と中央部での6年にわたる活動期間中一貫して、アルシャハブはソマリア人一般市民に一切の哀れみを示してこなかった。事実彼らは特に一般市民を、頻繁に殺人の標的にすると共に、大人や子どもを兵士として強制徴兵してきた。モガディシュでの戦闘の最中、アルシャハブは一般市民エリアから攻撃しては逃げる戦術を用い、エチオピア軍部隊と、後のアフリカ連合部隊(以下AMISOM)からの無差別砲撃を引き出した。

アルシャハブ支配下エリアで生活している人々は、弾圧的な社会支配と、石打ち刑、ムチ打ち刑、公開処刑を含む厳しい刑罰に苦しんできた。

アルシャハブの攻撃を避けてケニアに逃げた多くのソマリア人は、そこでもアルシャハブを支援していると彼らを不当に非難する警察の手によって、差別と時に重大な人権侵害を被ってきた。2011年半ばに私は、強制徴兵を恐れてソマリアから逃げてきた数十人の子どもとその親に話を聞いた。その中の数人は、アルシャハブに学校や自宅から軍事訓練キャンプに連行された後、そこから逃げ出してきた子どもたちだった。

ウェストゲート・ショッピングモールへの攻撃の余波が続く中、ケニアと周辺国及び国際的な役割を果たす責任を有する国家・機関は、ケニアとソマリアへの対応を間違いなく強化するはずだ。その対応に一つには、ソマリアでアルシャハブと闘っているケニア軍部隊を含む、AMISOMへの資金援助が挙げられるだろう。しかしその両陣営は共に、しばしば一般市民の保護義務を無視し、彼らを傷つけ殺害してきた。

ウェストゲート攻撃への怒りは十二分に理解できるが、ケニアで難民として生活している人々を含む、ソマリア人一般市民が再び報復の標的にされてはならない。一般市民の保護義務を見過ごす政策は、紛争を煽り更なる苦悩を生むだけである。誰もそのような間違いを犯すゆとりはないはずだ。

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