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モンゴル帝國史から、西欧が世界覇権に乗り出した理由を大雑把に考えてみた!

2017年04月01日 12時17分25秒 | 大東亜戦争の歴史的意義(帝國政府声明文の検証)
先週であるが、宮脇順子学術博士のモンゴルに関する何冊家の著書を札幌市の中央図書館で読んでみた。なかなか興味深い本であった。

 宮脇順子博士は、30年以上、中央アジアの遊牧民を中心とし、中国からロシアまで幅広く歴史研究をしてきた研究者であり「世界史はモンゴルから始まった」というDHCシアターの番組を担当していた。その宮脇博士が多数あるご著書の中の一つである「どの教科書にも書かれていない 日本人のための世界史」の中で、ヨーロッパと中国とを一つにつなぐ、中央ユーラシア草原からみた「一つの世界史」を展開し、その主役である「モンゴル帝国」は、中国のかたちを根本から変節させ、ヨーロッパを滅亡寸前にまで追い込み、ロシア帝国の生みの親となったとし、さらにそうした「一つの世界史」を追っていったとき、我々日本人は、そのなかに「大日本帝国」が登場してくることに気づくという。そう、そこで大日本帝国は日本史のなかではなく、世界史の主要な登場人物として、その姿を現わすのであると話を展開されている。
(資料:DHCテレビ 世界史はモンゴル帝国から始まった URL:https://dhctv.jp/season/49/)
(資料:宮脇順子博士のご著書 「どの教科書にも書かれていない 日本人のための世界史」 KADOKAWA 2017/2/24 単行本¥1,512 キンドル版¥1,400 amazonURL:https://www.amazon.co.jp/どの教科書にも書かれていない-日本人のための世界史-宮脇-淳子/dp/4046018992)

 確かに、モンゴル帝国以前の帝國は、ローマ帝国、ギリシャ帝国、ペルシャ帝國、イスラムの諸処の帝國、支那の帝國にしても、「その地域がすべての世界」という意味合いが強くあり、その帝國の皇帝が「我々は世界覇権國である」といっても地球儀を俯瞰してみて見ると「地域覇権國」であったというのが本当のところであろう。

 モンゴル帝國の勢力範囲を見てみると、西は東ヨーロッパから、東は支那、朝鮮半島まで勢力範囲を持っており、「世界帝國」といって良いほどの版図を持っていたといって良いであろう。モンゴル帝國は、その諸地域に「ハン」という地方統治者を任命して統治をしていた。だから、今でもコーカサス地方の國は「~スタン(コーカサス地方では「~人の土地」という意味だそうである」という國名が多く存在しているのであろうと私には考えられる。モンゴル帝國が支配していたときの名残として。

 モンゴル帝國以降に、ポルトガル、スペイン、イギリス等が世界に乗り出して行ったのであるが、何故そうなったのかを考えてみると、恐らく、モンゴル帝國と取引のあるヨーロッパやユダヤ系の商人が、シルクロードをモンゴル帝國に向けてキャラバンしてヨーロッパの王様や取引商人達に見たこと、聞いたことを話した事によるのではないかと思う。それと、モンゴル帝國とヨーロッパの延焼地帯の人々の状況の状況偵察の情報も多々入ってきたことであろう。それで、ヨーロッパの諸国が「これはまずい!」と思い防衛戦を張り、モンゴル帝國の進撃を寸でで食い止めた。それで、「これは我々にも世界帝國が作れるのではないか」!と考え、「キリスト教の布教」を口実にヨーロッパ諸国や、版図に組み込まれていたロシアは世界覇権に乗り出したのではないかと私は宮脇博士の見解から考えた。

 モンゴル帝國としては、地理学的に見てみると、特徴として今までどの帝國も押さえることができなかった亜細亜大陸の中央部・コーカサス地方、及び、東ヨーロッパ圏、ロシア圏を押さえていたというところが特徴である。地政学的にいうと大陸の心臓部「ハートランド」である。イギリス人のハルフォード・ジョン・マッキンダーの提唱した「東欧(東ヨーロッパ・ロシア圏)を支配するものが、心臓部(ハートランド)を制し、心臓部を支配するものが世界島(ユーラシア)を制す。世界島を制するものが世界を制する」という地政学的見解も、この「モンゴル帝國」を基準にして生み出された理論ではないのだろうか。そして、この世界帝國であったモンゴル帝國の後に出てきたヨーロッパ諸国の海洋進出の展開を見て発想したのが、米國の最も偉大な地政学思想家とされる、アルフレッド・セイヤー・ハマン提督(「海上権力史論」の著者)の「海洋を制するものは世界を制する」という理論であろう。ジョージ・フリードマンは著書「100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」で、実際にこの二つの理論はある意味では正しいと、歴史によって証明されているという。
(資料:ジョージ・フリードマン著 櫻井裕子訳 「100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」 早川書房)

 大東亜戦争時の日本軍が、何故、海軍と陸軍の連携がうまくいかなかったかと考えると、「亜細亜解放」という方向性は定まっていたのだが、この陸軍が唱えるマッキンダーの「大陸覇権理論」と、海軍が唱えるハマンの「海上覇権理論」がぶつかり合ってしまって一歩も譲らなかった事が原因であろうと考えられる。この地政学的理論がどちらかに統一して、戦略や戦術を練っていれば、難産はするであろうが、もう少し「亜細亜解放」がスムーズに進んだのではないであろうかと私は考える。

 大日本帝國の産みの親が「モンゴル帝國」であったという宮脇博士の話の展開はとても興味深い。