いつも、通学路を思い出す
小学生のおまえも
だんだん、少しは
友だちも、出来た
でも、朝の通学路は
たいていひとりだ
集団登校なんてない
春休みが終わって
新学年の頃だな
小学校は、3年から6年迄
クラス替えがなかった
なかなか、馴染めない
人見知りのおまえには
それは、良かった
でも、席替えがある
席が変わると
なんか、やっぱり違った
おまえは、相変わらず
近所に、同級生がいない
まったく、いなかった
だから、席替えで
なんとなく、またぼっち
そんな感じだったな
暫く馴染めば
それなりに、また
それなりの交友
そんな風になれたけどね
学年の初めは
そうもいかない
だからだな
寝起きは、悪くないけど
寝起きは、重い
そんなおまえ、だから
そんな時期には
ひたすらに、寝起き
重くて、重い
重いまんま、なんとか
寝床を這い出し
なんとか、着替えて
重いごはんを
重く、口に押し込む
一段と重い身体
重い教科書を
重いランドセル
更に押し込み
鉛のランドセル
背負って、押し潰されて
でも、なんとか立ち上がり
ズックを、履いて
はあ〜〜〜
雨だよ…
傘を持つ
傘も鉛だ
しとしと
傘を開いて
押し被さる鉛の傘
歩き出す
背中のランドセル
鉛を引きずりながら
鉛の傘
傘の先に覗く
雨粒、滴り
いや、吹き込んで来る
両手で支える傘
その柄にも
雨粒、滴り
指先に、滴り
凍る、滴り
こころに、しみじみ
おまえは、ひとり
凍えていた
ひとりは、凍える…