一晩が、明けた
しろは、もう
身体は、残ってるけど
もう、しろの
こころは、消えてしまった
あまり寝なかったのか
眠そうなお兄ちゃんたち
もうすぐ
しろのお葬式に
行かなければいけない
巨大なニュータウンのある
隣街にあるけど
T根川流域の
あまり民家のない
里山にあるようだ
冬の始め
小春日和
良い天気だ
でも、抜けるような
その蒼空が
なんだか、なんにもなくて
さひじい
ただ、さびしい
ちっぽけな家族の
その家族の一員だった
儚いいぬのいのちが
昨日、消えたからかな
昨日、タオルと毛布に
くるんであげた
そのままに
下のお兄ちゃんが
抱っこした、しろは
下のお兄ちゃんが
抱っこして、連れて来て
我が家の子に
なったのだから
最期は、やっぱり
下のお兄ちゃんが
抱っこしてあげる
なんにも、言わないけど
みんなで、そうした
昨日の様子では
ちびちゃんが
しろの亡き骸のことは
よく分からないみたいで
ちょっと難しいなと
思えたので、会わせなかった
みんなが、一緒に
出掛けちゃうから
ちびちゃんだけが
置いてきぼりになる
心配したのかな
起きてきて
怒って、吠えてだけど
今日は、仕方がない
クルマで行く
隣街だけど、結構遠い
自分が、運転
お母さんが、助手席
お兄ちゃんたちと一緒に
しろは、後部座席
下のお兄ちゃんは
しっかりと、抱き締めている
でも、しろは
もう、クルマ酔いは
しないからね
クルマは、国道だけど
田舎道を、走って行く
もう、隣街に入っだけど
ニュータウンとは違う
昔からの、古い街道だ
この辺りは
江戸時代には
T根川水運の栄えた街々
T根川は、江戸時代には
江戸の物流を支える
大動脈だった
その陸路は、川沿いの
船着き場の街と
並行して走る
初詣の大寺院への
参詣道で、結ばれているのだ
ニュータウンとは
無縁だけど
バブル期には、街道と沿う
単線の鉄道沿いに
大規模な宅造が
かなり、行われていた
そんな街を、一つ過ぎると
また、川沿いの田園と
里山が、連なる
その里山の一つに
ペット霊園が、あるはずなんだ
みんな、押し黙って
声もない
しろを、抱っこする
下のお兄ちゃんも
来年は、成人だ
でも、いい歳をして
時々、啜り泣いてるみたい
止めてくれよ、もう…
to be continued