自分には、稀な
あの寝苦しい、いや
寝つくことは、なかった
苦しい寝返りを
繰り返していただけだ
その果てしのない
覚醒したままの
深い深い、夜の闇が
ようやくに、明けて
でも、会社だよ
まず、駅のホームで
電車に、吸い込まれて
雑踏に、呑み込まれる
人々のざわめきは
がんがんと締めつけてくる
酷い頭痛の彼方の
聞き取れない
遠い叫喚のようで
気怠さの底に
澱となって沈んで
ただ、重苦しいだけの
霞んだ意識の地平を
無為に、へ巡っていた
ふわふわとして、不快な
夢遊病のようで
澱み込んで、重だるいだけの
気持ちは、足取りとなる
ようやく、たどり着いた
オフィスに飛び交う
話し声、笑い声
ただ虚言みたいで
疲弊の果てに
重く閉ざしている
この自分の
鬱々としたままの
意識世界のまわりで
ただ、ぐるぐると
目まいとなって
纏わりついていた
その目まいは、目まいのまま
重だるいままの意識を
かすめ去って行く
知らず、やり過ごした
その一日は、まだ続く
帰り道、雑踏
駅のホーム、電車
みんな遠いまま
でも、揉みしだかれて
意識が、散り散りに
砕け散りそうな
そんな時に
やっと、たどり着いた
我が家でも、鬱々
ふわふわと、倒れ込んだ
その寝床でも、やはり
昨夜の覚醒の夢魔が
纏わりついてきた
そう思った一瞬が
確かに、あった気がする…