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日記、日々の想い 

おとなになっても、あのこいぬを…

おとなになっても
少年は、あの子を
ふと、思い返している
あの子は、あのあと
どうやって、生きたんだろうか
いや、生きられなかったのか
少年と、こいぬの運命は
あの、一週間
そうだ、たった一週間
重なって、でも
そのほんの一瞬に
重なっただけで
はじけて、消えて
後は、なんにもない
おまえが、捨てたからだ
だから、なんにもない
なんにも、なくなった
そう言うことだけど
少年は、どうしても
その弾けたシャボン玉の
束の間の輝きを
忘れることが、出来なかった
自分で、弾いて
消し飛ばしたくせにだ
でも、どうして
そのことが、少年には
おとなになってさえ
忘れることが、出来ないのか
もちろん、もう
思い出したくないと
思ったりもするけど
いや、絶対忘れないと
思う、強い気持ちを
こころの奥底に
自ら、潜ませている
そうだとも、思える
絶対に、忘れないと
あのこいぬとの出来事で
少年は
いのちは、すべて
儚くて、取り返しがつかない
そして、その果てた先には
ただ、なんにもない
闇しかない、と
そう、悟ったからだろう
掛け替えのない
でも儚い、そのいのちを
守リ抜く為には
ただ、ひたすら
自らを、少しでも
ただただ、強くする
そのことが出来て、初めて
少年を、取り囲む
あらゆるすべて
そのすべてのいのちたちが
育まれ、守られる為にと
その掛け替えのなさと、儚さを
弾け散らすことなく
優しく包む事が
出来るはずなんだ、と
そう、悟ったからなのだろう
…そうだな
少年だったおまえは
この老人にまで
なってしまったけど
それで、少しは
強くなれたのだろうか…

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