考えてみれば
凄く不思議だ
思春期が終わる頃から
だろうか
例えば、あの半年の入院
思わぬ、大怪我
必死だった
最初は、息をするのさえ
やがては、毎晩苛まれた
脚が、もげるような痛み
眠れない夜が続いたけど
何故だろうか
必死だった
生まれて初めて
だったかも知れない
とにかく、必死だった
生きることだけに
だから、そうだね
おまえが、よくうなされた
眠れないままに
うなされた、悪夢
おまえが、消えること
その計り知れなかった恐怖
それを考えることが
無くなっていたと思う
少なくとも、あの時から
子どものおまえは
毎晩、苦しめられた
思春期になると
気持ちは、真っ暗でも
意外と、たまだった
たまに、思い出したように
眠れない夜
取り憑かれていた
気づかなかった
考えなくなった事に
それ程迄に、まったく
考えなくなった
半年の入院では
悪いのは、怪我した脚だけ
元気になった身体で
ずいぶんと持て余した
でも、悪夢は無かった
やがて、退院して
社会復帰を試みた
完全な落ちこぼれ
だったからね
足掻いて、足掻いて
社会の崖っぷちに
しがみついて
生きて来たと思う
二度と、自分が
消える事など
考える事なく
そうして、今
子どもの頃
うなされたおまえ
遥かに、思い出して
そんなだったな
そう思う
でも、そうだな
そう言う事を
思い出したとしても
消える事に興味がない
どうでも良い
まったく、気にならない
不思議だ
そんな事どころじゃなくて
散々、足掻いて生きて来て
何だか、悟れた❓
