だめだな、この脚
そうは思う
だいぶんだめだ
そうは、思っている
でも、それだけ
大怪我をして
今は、何とか
治したと思えた若い頃
でも、この鈍痛
いずれ、歩けなくなるんだよな
他人より、絶対
早く、歩けなくなる
情けないな、と思っていた
歩けなくなったら
きっと、おまえは惨め
そう、思っていた
悩む程じゃないけど
いや、おまえは
本当には、悩まないから
悩めないから
ただ、ぼんやり
でも、少しは
こころが、重たく
おまえは、思っていた
そして、今だな
よたよた、よたよた
歩いていて
でも、仕方がない
脚が痺れるから
でも、そうだな
惨めとか、何とか
そんなことは
何にも思わないな
こうして、昔は
そう言えば、思っていた
そう思い返している
それだけだな
歩くのに必死で
いや、必死ではないか
ただ、夢中で
歩くことに、夢中
生きていることには
惨めなんてない
きっと、そんなもんだ…