静けさとのんびり

のほほんとした日常!

R2.12.17(木)「ある日の子猫」Vol.2

2020-12-17 17:07:50 | 日記
結局半日、留守にしたことになる。
その日帰ってきたのは朝の五時過ぎ。それでも昨日より一時間以上も早かった。子猫ちゃんが帰りを待ってくれている。そう思うと胸が熱くなった。
カギを開けると入室を拒むような異臭が立ち込めていた。顔をしかめ恐る恐る部屋に入っていく。子猫ちゃん、…………い・な・い。そんなわけはない。
探すと部屋の片隅にあった小さな本棚の陰にキョトンと僕の方を見ていた。
少しすると近寄ってきて僕の足にすりすりし始め、にゃーんと鳴いた。
「ごめんね。寂しかった? ごめんね」ぎゅっと抱きしめた。
すぐに視線はある一点に向かった。ベッドの掛け布団の上におしっことウンチの汚物が広がっている。太平洋のど真ん中に富士山がにょっこり。うむ。
そうだよな。ごめんな。そうなんだよな。寂しかったんだよな。ごめんね。
猫の習性も、生理現象など知らない無知な僕が悪かった。目じりにしわを寄せ窓を全開にした。その後息を止めながら丁寧に汚物を取り除く作業に。雑巾を絞り布団を何度も拭いた。また拭いた。水で臭いを薄くするためにまた拭いた。何度も何度も拭いたせいで、布団がかなり湿り湿りになってしまった。
運よく外は晴れていた。手すりに布団を掛け天日干しをした。しかし布団の内部の綿に染みこんだ臭いはおいそれとは消えない。明後日ここの住人が戻ってくる。一日じゃ、消えない。焦る。そうだ。以前シャネルの19番の香水を女の子から貰ったのを思い出した。それを臭い部分に掛け中和させれば少しはマシになる。そう思いそれを実行した。
今度は、部屋中に派手な匂いが立ち込めまるでデパートの香水売り場のよう。

僕には猫を飼う資格がない。あまりにも無知すぎる。まさに不適格。
子猫を外に戻してやるしかない。泣く泣く解放してあげた。
良心的で猫好きの人がこの可愛い子猫を見つけ救ってくれる。大切に育ててくれることを祈るしかなかった。きっと里親は見つかる。こんなに愛くるしく可愛いんだから。
無性に寂しい。かわいそう。侘しさ、切なさ、あらゆる負の感情が心の中に湧く。
猫は人を裏切らない。愛すれば愛するほど、与えた愛は返ってくる。

the end