今回の作品でも
気持ちのいい言葉に
たくさん出合うことができました
主人公の祖父の言葉に
「ひとりひとり違うという状態こそが
『ふつう』なんや。
『みんな同じ』のほうが不自然なんや」
というのがありました
とても好きなセリフです
小説とは関係ないけれど
思い出したことがあります
小学4年生の国語の時間で
自分たちの書いた作文を綴じる
表紙を作る授業があり
先生が「私の文集」と書くように
指導しました
子供心に 皆と同じタイトルを
つけなくてはいけないのが
つまらなく感じ
考えた挙句
「私の文章」と書いてしまいました
いま思うと 先生には
話を聴いていなかった生徒
と思われたかもしれませんね
ですが「青空」でも 「青い小鳥」でも
何でもいいので
生徒各々がタイトルを付けた方が
絶対良かったと思います
この小説では発達障害と思われる兄と
そんな兄とうまくいかない妹の
ふたりが祖父のガラス工房を
引き継ぐ日々が書かれていますが
葛藤はあるものの
最終的には良い方に話は流れ
やっぱり きょうだいっていいものだな
と思いました
ところで 私が
この作家さんの小説を知った
1冊目は 「ビオレタ」といい
行き場のない心を閉じ込める
棺桶を作っている女性の話でしたが
今回の小説では
兄が1点物のガラスの骨壷をつくっています
個人的なことですが
その骨壺を届ける先に
須磨の海岸の描写があり
転勤で暮らした先から
出かけたことがある私は
空気感が伝わり懐かしくなりました
*本の写真に添えたのは我が家の家宝(!)
舩木倭帆さんの吹きガラスの花器です(^o^)
追記* 後日 舩木さん作の
瑠璃色が美しいガラスの骨壷を
拝見する機会に恵まれました
せっかくですので
写真を添えておきます
(撮影 5月6日)