![]() | 武道の心で日常を生きる―「身体脳」を鍛えて、肚を据える宇城 憲治サンマーク出版このアイテムの詳細を見る |
「先生,H子さん達を殴っていいですか?」
【けーこ】が担任の先生に「許可」をもらいに行ったのは,父親である私の(酔った勢いでの)差し金である。
【けーこ】と仲の良い友達がいじめにあい,それをかばった【けーこ】自身も,「けーこは○○が好き」といった嫌がらせのチェーンメールを回された。
H子達2人の被害者は他にもたくさんいるらしい。
憤慨している【けーこ】を焚き付けたのは,父と私と弟という3人の酔っぱらいであった。
【けーこ】が空手をやっていることは学校でも有名である。担任の先生が止めてくれることも,もちろん,同業者としてわかっていた。
「そのまんま担任の先生に話しに行ったら,『ちくった』と言われるから,
『殴るための許可をもらいに行った』と言ってやりな。」
とそそのかしたのである。
「先生が止めてくれなかったら,寸止めで脅かしてやれ。
あご先1cmのきざみ突きは得意でしょ?」
とも・・・・・・。
結局,学校全体で対処してくれたようで,H子達はやり込められ,大人しくなった。
ところが,今度はH子達がいじめの対象になった。
いじめられていた側や無関係を決め込んでいた周囲の者たちが,H子達に反撃を始めた。
【けーこ】はというと,しばらくは無関心でいたらしい。
しかし,
「いい加減にしておきなよ。」
と,今度はH子達をかばったそうである。
「あんた達だってやられたんだよ。」
という他の子たちに,
「そんなやり方じゃ,H子達と同じでしょ。」
と諭したという。
我が子ながら,随分と気の利いたことをしたものである。
卒業間近,「いじめっ子に同情する必要はない」と考えていた私のクラスの子ども達には丁度良い事例になった。
(もちろん,【けーこ】が私の娘であることは伏せておいた。
ただの自慢話になってしまうから・・・・・・。)
・・・・・・(「卒業前のひと仕事(6)」に続く
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