畳刺 父ちゃんの日々

悲しい産地情報(国産イ草&ワラ畳の現状)

取引している産地問屋さんから熊本の産地情報を聞いたり送ってもらったりしているのですが本当に悲しい現実ばかりを突きつけられます。
今後、この業界はどうなってしまうのだろうと考えさせられる事ばかりです。
先日も産地の新聞のコピーが送られてきました。


平成元年、全国のイ草農家さんは約8,000軒、現状全国のイ草農家さんは700軒を大きく下回っております。
国産畳表の減少の要因として生活様式の変化(和室が少なくなり畳の需要が減った)中国産畳表(安価)の台頭、生産者の高齢化・後継者不足による廃業(1年間を鰍ッ生産する畳表ですが自然の農産物で天候などに左右され、大変な労力にも収入が伴わない為、作付けを止めたり、跡を継がない)が挙げられます。

国産イ草の95%以上を支えている熊本県八代地方の栽薄ハ積は20年前に4608㌶だったのが14年産は691㌶と急落、1年間で40軒の農家さんが廃業、転作になり今年度のイ草農家さんは535軒となってしまいました。
イ草栽狽謔閧竄゚、トマトなど他の作物に転作してしまう例も多く、農家さんを支える農機具屋さんもハーベスター(イ草刈り取り機)などの製造を止めてしまっています。
これは本当に驚異的な事です。
国産専門店として畳業を営んでいる当店にとってこんなに浮「事はありません。


それらは畳業界の根底を揺るがす事態になってしまっています。
中国産があるからと危機感がない方もいるのでしょうが、畳は日本の文化。
他の国では見られないジャパンオリジナルなのです。
この国の風土にあった古来よりの優れた敷物。
夏は涼しく、冬は暖かい。
赤ちゃんからお年寄りまで寛げる安全安心な敷物です。
しかしそれは国産だからこその良さだと思うのです。


現在、中国産の畳表が7割以上を占め、使用される畳床は建材畳(化学畳)が当たり前。
昔ながらの本畳と呼ばれる品物も少なくなりました。
現状、悲しい事ですがそれらが今の時代を支える畳となってしまっております。


ワラ畳の減少の要因として建材畳床の爆発的な普及。
建築事情による形状(厚み等)の多様化。
畳価格の安価事情と、ワラ不足などがあります。
日本の主食は米。
米がある限り藁はあるのですが、その藁を取る事がありません。
今まで家の近所で 《 おだ鰍ッ・・・稲を刈り取ってから藁を束ね、抽ニ等で天日干しをする 》 をやっていた農家さんも殆んど無くなり、製畳屋(畳床を作る業者)さんも殆んど無くなりました。


私たち畳店を支えるそれぞれの業種(屋台骨)が衰退する現在、この業界に携わる全ての者が色々真剣に考えなくては成りません。
この先、自分の息子が将来を考えた時、先の見える明るい業界であって欲しい。
畳屋を始めた頃そんな事は思いもしなかったが、ここ数年で起こっている様々な変化には本当に脅威を感じます。
イ草農家さんや製畳屋さんが誇りを持って製品作りをしているのですから消費者に接する私たち畳屋は、それら品物の良さを提案、提供していかなければならないと思います。


昔ながらの畳、お客様が求める畳、時代に合わせた畳。
色々提案し、それぞれのライフスタイルにあった畳を今後も提供出来るよう頑張らなければと思う。

ただ、自分が思う畳は本畳(国産イ草にワラ畳)が一番。
古より先人が作り出した和の文化。
自然の物を快適に利用する日本人の知恵。
出来る限り良い物を使って欲しいし、良い品を使えば畳の良さが必ず実感出来ます。
これからもお客様皆様にお願いしたいのは国産畳に拘って欲しいという事。
もちろん、畳屋さんなら尚更です。
それがこの業界を支える農家さんなどの希望にも繫がる事なのです。
日本の畳、これからも宜しくお願い致します。

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コメント一覧

畳刺 父ちゃん
高橋畳店 三代目様

本当に難しい問題ですよね。
4月を過ぎても未だに価格高騰に歯止めがかからず(困)
値段や質の問題で使いたくても使えない、多くの畳屋さんがそういった悩みを抱えている現状。
頭の痛い問題です。
高橋畳店 三代目
http://takahashitatami.blog.fc2.com/
これから頑張るぞ!!と動き出したばかりなのに、このような状態では本当に先行き不安です。
中国産表を使うのは簡単ですが、お客様が本当に喜んで頂けるにはやはり国産畳表でなければ!!と勝手に思っています。

そんな国産畳表をたった535軒(650軒弱)で…日本の伝統を支えていると思うと…
日本の伝統の敷物を守る為に、しっかりと国に動いてもらいたいですね。

本当に大きな問題ですね。
畳刺 父ちゃん
ゆうこ様

初めまして、コメント有難う御座います。
当店の問屋さんは宇城市小川町、毎月必ず熊本からトラックで来てくれていた問屋さん、昨年8月に熊本に帰る事無く亡くなってしまいました。
その問屋さんも良く言っておりました。
昔、あっという間に無くなってしまった広島産地を見ているようだと・・・。(元広島の産地問屋さんだったのです)
近年、家の周りのイ草の田んぼは殆んどがハウスに変わり、熊本に帰って来たと感じるのは、イ草の田んぼの多さで無くハウスの多さだったと話していました。

跡継ぎがいなかったので奥様の紹介により、今は八代千丁の問屋さんが私のわがままを聞いてくれています。

私も日本にしかない畳に中国産を使うという事がおかしな話と思っています。
作らされているのではなく、自分達の誇りを鰍ッてこの国の畳を支えてくれているのです。
畳屋の私に出来ることは、仕事(腕)で材料を拠り生かし、お客様に提供、伝える事です。
私のお客様で中国産を望む方は一人もおりませんし、国産専門店だからこそ沢山のお客様にお世話になれているのだと感じております。
この国の風土で育った物だからこその畳。
現状支えてくださっているイ草農家さんが畳を好きなように、私もまた《畳》が大好きです。
ゆうこ
本当におっしゃる通りだと思います。
私は熊本・八代に住んでいます。初夏にはい草があちこちで刈り取られ、それが私の地元の風物詩でもありました。今は・・・殆ど見られないのが現状です。畳の部屋が少なくなって来たのもあるでしょうが、日本と共に生き、人と共に呼吸して来た畳だからこそ、日本の文化があったと思います。友人にも何人かい草農家が居ます。転作した農家もいます。頑張って欲しいです。ハーベスタの製造中止、、、中国産のい草の普及、、、問題は山積なんでしょうね。どうにか頑張って欲しい。友人にも本当に踏ん張って欲しいです。
畳刺 父ちゃん
福島畳店様

全国のイ草生産者さんも650軒を切っているとの事。
今後も価格の安定はありえない現状ですね。
自分達の身体より先に自由に使えなくなりそうです。
それだけは何とかしたいのですが・・・。
それぞれに生活事情がある本当に困った問題です。
福島畳店
新しい年を迎える度に、生産農家さんが減り続けていますね(困)
残る535件のイ草農家さんのほとんどが兼業農家さん。
イ草専業農家さんは、ほんの一握りの方々と聞きました。

私も、体がつづく限り新畳は藁床を使って行こうと思います。
今後、国産畳表を使って行くうえで、供給、価格、その他色々なめんで心配ですし、脅威を感じますね。
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