なの花か、なんの花か、んのある光景。
その場の時空の一切が、写真に閉じ込められているようだ。
キャベツの花らしい。
光の圧迫、拡散、時間が透けて光となる一瞬の、無がそこに写っていた。
確かにあった、その証拠ともいうべき、過去の残滓、その輝き。
目には見えない。見えないのに、なぜ、カメラを向けたのか。
目に見えている大きさが写らないのは、なぜか。
目に見えない大きさが写るのは、なぜか。
風が吹いたのか、畑に。目が背いたのか、青空に。
死が夢を見ている、この安らぎ。
死が夢を見ているかぎり、生が尽きることはない。
目に見えない力の一切は、実は目に見えない力の一切なのだ。
他力を感じる。なにも見えない。
思い出して、詩集「蜘蛛の行い」四、を引用する。
われらはファインダーを覗いてみる
眼下に群青があり
分岐点は
どこにもない
これが事実であるとわれらは言えない
これが無実であるとわれらは言えない
波濤があり
遠く波濤に打たれる岩礁がある
われらは叩くが常に写真に叩くにすぎない
カメラにはわれらが錐を通した穴がある
岩礁は近づき
なおも近づき
われらは錐の穴から
波濤とともにこれを叩く
群青もろとも切り落とす
その場の時空の一切が、写真に閉じ込められているようだ。
キャベツの花らしい。
光の圧迫、拡散、時間が透けて光となる一瞬の、無がそこに写っていた。
確かにあった、その証拠ともいうべき、過去の残滓、その輝き。
目には見えない。見えないのに、なぜ、カメラを向けたのか。
目に見えている大きさが写らないのは、なぜか。
目に見えない大きさが写るのは、なぜか。
風が吹いたのか、畑に。目が背いたのか、青空に。
死が夢を見ている、この安らぎ。
死が夢を見ているかぎり、生が尽きることはない。
目に見えない力の一切は、実は目に見えない力の一切なのだ。
他力を感じる。なにも見えない。
2010年4月6日 桂川上野橋先、農道で写す。
思い出して、詩集「蜘蛛の行い」四、を引用する。
われらはファインダーを覗いてみる
眼下に群青があり
分岐点は
どこにもない
これが事実であるとわれらは言えない
これが無実であるとわれらは言えない
波濤があり
遠く波濤に打たれる岩礁がある
われらは叩くが常に写真に叩くにすぎない
カメラにはわれらが錐を通した穴がある
岩礁は近づき
なおも近づき
われらは錐の穴から
波濤とともにこれを叩く
群青もろとも切り落とす