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氷川きよしについて ★ by とねりこ

☆大利根ながれ月〜Kiinaの歌声を味わい尽くす♬311

Kiinaのデビュー15周年を迎える2014年のツアーは117日の八王子オリンパスホールからスタート、この時、2014年第1弾シングル「大利根ながれ月」とカップリング曲の「七つ星」「ふるさとの風」をKiinaが披露してくれました。

https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-16849.html

https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-16850.html

 

松井由利夫先生作詞の、平手造酒を主人公にしたいわゆる「大利根もの」です。

Kiinaの解説によると、作品自体は「ズンドコ節」と同時期に出来上がっていたのですが、「まだ早い」ということでこの時期まで温めていたのだそうです。

初めはマイナー調のどっしりしたメロディーがつけられていたのを、15周年に当たってメジャー調で歌いたいとKiinaが希望して水森先生に作り直していただいたようです。

Kiinaの歌唱はこちら

https://m.youtube.com/watch?v=WVyLIwuk_0E

歌詞は歌ネットより。

https://www.uta-net.com/song/158734/

 

私見ですが。

大利根ものをマイナー調で歌っても、おそらく三波春夫さんの名曲「大利根無情」を超えることは難しいでしょう。平手造酒の悲劇を敢えて軽いメジャー調にしたことで、平手の心の内〜人生に対する諦観や境涯への自嘲がかえって浮かび上がってきたように思います。

 

この作品のテーマである平手造酒については、Kiinaがカバーした「大利根無情」や「大利根月夜」でご紹介しました。

江戸時代後期の天保年間、下総(現在の千葉県)で実際に起こったやくざ同士の大喧嘩とそこで命を落とした用心棒の浪人の話が「天保水滸伝」として浪曲や講談、映画となって広く大衆に喧伝されました。

 

既に何度も歌に取り上げられてきた題材ですが、松井先生らしい「言葉あそび」が随所に散りばめられていて、決してありきたりの「大利根もの」になっていません。

例えば

1番の「義理の着流し 落としざし」では「し」で韻を踏んでいます。

2番の「なんだ神田の ひと悶着は」の部分。

神田は平手が門弟であった千葉周作の道場があった場所です。「神田のひと悶着」とは、千葉道場を破門されたことを意味しています。「なんだかんだ」と「神田」。「おそれ入谷の 鬼子母神」と同じシャレの掛け言葉ですね。

 

松井先生は、「歌の手帖」のインタビュー特集で「僕は星野哲郎さんのような詞は書けない。僕の詞は言葉あそびなんです」とおっしゃっていました。

改めて「大利根ながれ月」の歌詞を読んでみると、実に見事に「この言葉でなければ!」とひとつひとつ厳選された言葉で構成されていることが分かります。

どんなに松井先生が日本語という言葉を愛され大切にされたかも。

演歌は今でも数多く生み出されていますが、松井先生のような粋なセンスで言葉を綴れる作詞家はもう現れないだろうと思います。

 

巻き舌が使われている部分や浪曲調の歌い回しの部分は、Kiinaから水森先生に提案したのだそうですが、この曲をステージで歌う時、最後に徳利酒で酔っ払う仕草をしていることも含め、Kiinaの平手造酒は、三波春夫さんの平手とも田端義夫さんの平手とも違う、もはや命にも明日にも未練を持たず、日がな一日川面に舟を浮かべて釣りをしているような平手造酒を造形出来たと思います。

150年前に平手造酒も見たはずの東庄町の大利根川です。

 

「大利根ながれ月」と直接関係ありませんが、これぞ松井先生の真骨頂と私が膝を打つ作品があります。

松井先生が「はぞのなな」という別名のペンネームで藤圭子さんに提供された「はしご酒」です。歌詞はこちら

https://www.uta-net.com/song/543/

まさに言葉あそびの達人の面目躍如、と思います。藤圭子さんの紅白出場最後となった曲は、「怨歌」ではなく小粋な東京下町のご当地ソングでした。

コメント一覧

のびゅうこ
いつもながら遅くなっての投稿ですみません
田端さんや三波さんの大利根物をいっぱい聴いた年代です
kiinaさんの[大利根流れ月]を聴いたとき もうこのような歌を上手く唄う歌手は出てこないだろうなぁと思ってなんか
うれしかったです

そして松井先生の言葉の1つ1つが とねりこさんの解説できら星のごとく
響きます

以前深夜便の松井先生特集で 藤圭子さんの[はしご酒] がかかりましたね
ほんとに味わい深い歌唱と詩をしみじみ聴きました

とねりこさんの1つの歌にまつわる裏側のお話しに歌の深みが一層増します

お忙しい中今日は映画を楽しまれましたか?
孫と行動出来た頃がなつかしいです
いつもありがとうございます
とねりこ
ゆきやなぎさん、分かります!
Kiinaを追いかけて流れる時間軸と、家庭生活や社会生活を送っている時間軸は別なんですよね(^_^)
ゆきやなぎ
とねりこさん、ごめんなさい。正確に2014年の15周年記念曲と記して下さっているのに6〜7年ではなかったです。
もう、10年に成るのですね。私も歳を取りました。
こんな私ですがこれからもよろしくお願い致します。
ゆきやなぎ
こんばんは。
とねりこさん、毎日ありがとうございます。
今日は、大利根ながれ月、いろいろの思い出があります。
発売イベントで山野楽器さんに行かれた時のkiinaの映像がテレビに流れました。
ジャケ写と同じように、何故かお疲れのようで気になりました。

発売されたCDの中に応募ハガキが入っていました。
何時も私ごとで申し訳ないのですがその時、腰の手術のため入院する事になり応募ハガキを病院前のポストに何枚か投函しました。リハビリをして一ヶ月後に自宅に、そしたらコロムビアさんからの荷物が、、、何とkiinaのジャケ写にkiinaのサインと私の名前を書いて下さった掛時計でした。
あれから6〜7年今も元気に時を刻んでくれています。
すみません。嬉しくなり投稿してしまいました。

藪つばきさんのおっしゃるように、何時もながらとねりこさんの冴え渡る解説に感じ入ってる毎日です。衰えいく頭の体操です。でも、すぐに忘れる゙のですが。
そして、皆様の文才溢れるkiinaへの思いの投稿を読ませて戴くのが私の毎日の楽しみです。
藪つばき
こんにちはー。
松井由利夫先生による「大利根流れ月」、詞が良い上に水森先生の作曲がまた斬新でこの曲を盛り立てているように思います。
とねりこさんの仰るように、松井先生の言葉遊びは本当に見事ですね。国語の先生をしておられた程あって日本語を熟知されているのでしょうね。ちょうど、大きなパズルの台紙の中に一つづつ小さなパーツをはめ込むみたいな感じなのかなと想像しました。松井先生は星野先生のような詞は書けないとおっしゃったようですが、どちらも優れた作詞と言えますよね。
とねりこさんの「松井先生のような粋なセンスで言葉を綴れる作詞家はもう現れないだろう」というお言葉、私もその通りだと思います。松井先生ときよしさんが縁があって出会えたこと、そのことが結果的に歌謡界の宝物となりましたね。
今日の「大利根流れ月」の曲も、いつもながらのとねりこさんの冴え渡る解説で堪能させてもらいました~。

追記、
平手造酒の生きざまを表した浪曲や講談、映画など、沢山あるようですが、私は今まで一度も見たり聞いたりしたことがなく、残念だなぁと思います。
長々とすみませんでした~。
チャチャチャ
こんにちは。「大利根ながれ月」波乱万丈を人生をおくられた平手造酒を主人公に書かれた曲ですね。kiinaの曲は戦いのない自分の人生を振り返ったような心の揺れをさらりと書かれた曲で松井先生の心をしっかりと受け止められてkiinaは歌われていますね。kiinaは(悪い人にも悪くなった理由があるはず)と とねりこさんのお話のなかで有りました。「大利根無情」や「大利根月夜」と違ってkiina好みの曲になっているのではないでしょうか。kiinaの曲の後・、田端さんと三波さんのカバーされた時のとねりこさんのお話をもう一度読んで見ました。kiinaの歌声に「上手い!」って太鼓判を押されていました。
私も同感です。とねりこさんのお話は読むたびに新たな発見もあります。いつも有り難うございます。
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