随分前にYahoo 掲示板にも書かせていただきましたが、松井先生がお元気でいらした頃、ご夫妻でKiiちゃんの川口コンに来てくださったことがありました。
コンサートが終わってKii友さんと外に出た時に、奥さまとおふたりで付き添いの方もなしに立っていらっしゃる先生をお見かけして、失礼も顧みずに先生に近づいて「どうかこれからもきよしくんをよろしくお願いします」とお声をかけさせていただきました。
本当にどこにも偉ぶったところのない、謙虚で控えめなお人柄そのものの佇まいでした。
10年ほど前だったか、藤圭子さんを世に出された作詞家の石坂まさをさんに興味が湧いて自伝を都立図書館から取り寄せたことがあったのですが、その中に松井先生との交友も記載されていました。
作詞の勉強会で年上のお仲間だったこと、石坂さんの結婚式の仲人を松井先生ご夫妻が務めてくださったこと・・・
石坂さんは強烈な個性の方だったようですから、その人となりには毀誉褒貶も随分あったでしょう。
芸能界の常で、藤圭子さんが売れに売れていた時には大勢の人が群がり、藤さんと袂を分かった途端に離れていった人も多かったでしょう。
松井先生はどんな時も同じ距離感で石坂さんとおつき合いをされていたようでした。
「芸能界での人気はまぼろし」と、私が参加した新歌舞伎座のMCでKiiちゃんがつぶやいていました。
そんな浮き沈みの激しい世界で、誰に対しても変わらぬ態度で接する方が身近にいてくださったことはKiiちゃんにとって大きな財産になったと思いますし、これからも心の大きな支えになると思います。
Kiiちゃんがこの先どんな歌を歌うにしても、凛として生きようとする姿勢には演歌もポップスも関係ないのですから。
本題から少しずれますが、私は松井先生が「はぞの なな」さんのペンネームで藤圭子さんに歌詞を提供された「はしご酒」が何気に好きなのです。
藤さんの歌なのに気楽に鼻歌で歌える。そんな軽さが意外に藤さんにも似合っている。
東京下町の地名が歌詞の中にいっぱいちりばめられていて、まさに言葉遊びの達人の松井先生の真骨頂です。