アルバム収録カバー曲5曲めは「北上夜曲」です。
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=khFRy3gvXMY
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/230982/
戦前の昭和15年から16年、ともに岩手県出身同士で同じ下宿で知り合った菊地規さんが作詞を、安東睦夫さんが作曲をして、北上川を舞台にした曲が生まれました。
おふたりはそれぞれ教師になり教え子に歌を伝授。生徒から生徒へいつしか「詠み人知らず」の曲として静かに広がったものが、戦後の歌声喫茶ブームで一気に火がつき、レコーディングに当たって作者を探したところ、おふたりが名乗り出た、という経緯があったそうですね。
そんな訳で、一応オリジナル歌唱は「和田弘とマヒナスターズ・多摩幸子」となってはいますが、それ以前から多くの人に伝承され、それ以後も様々な歌手の方が思い思いの歌い方で歌い継いできたのでしょう。
ともにまだ10代の若者の瑞々しい感性で紡ぎ出した初恋の歌はどこまでも清らかで、聴く人の心まで浄化させてくれるようです。
Kiinaはこの前年にNHK仙台放送局の番組で50人のコーラスと一緒にこの曲を歌ったのがとても感動的で、「アルバムに」と希望したそうです。
私も小さい頃からこの曲が大好きでしたから、Kiinaがアルバムに入れてくれて、しかも私が「この曲はこう歌って欲しい!」と願っていたとおりのイメージで歌ってくれていたので、とても嬉しかったです。
この曲を歌うKiinaの歌声はどこまでも真っ直ぐで、どこにも「演歌歌手」の匂いがありません。それはKiinaにとっての演歌の唱法が後付けで身につけたテクニックで、いつでも本来のクセのない歌い方に戻れるからなのだろうと思います。
Kiinaの透明で哀愁の漂よう歌声を聴いていると、私は北の町の小さな下宿屋で共に音楽を語らい、離れた後もお互いを思いながら詩を綴りメロディーを紡いだふたりの若者の姿が目に浮かんできます。
「北上夜曲」は、このおふたりの出逢いがなければ世に現れなかった奇跡の名曲です。