2003年2月19日、氷川きよし渾身の一作「白雲の城」がリリースされました。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-15459.html
公式You Tubeより、MVです。
https://m.youtube.com/watch?v=Sx3Vo2G9lQc
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/16842/
リリースからちょうど20年。その間に出されたどの新曲よりも、ファンの心を掴んで離さない、まさに「ザ・氷川きよし」を象徴する一曲と言えるでしょう。
三橋美智也さんの「古城」は「『荒城の月』のような格調の高い曲を昭和に」と作られたと聞きました。「白雲の城」は「平成の『古城』を」との長良会長の意向で制作されたと何かで読みました。
3曲とも人の世の有為転変、栄枯盛衰を古城の姿になぞらえていますが、「白雲の城」には先の2曲に描かれなかったものがあります。
「凛々しき若武者の姿」です。
誰でもないKiinaが歌う曲だから、松井先生は敢えて「若武者」の姿を書き入れてくださったのでしょう。そして、聴き手にとっては若武者とはKiina以外にはいないのです。
その若武者の姿が、今はない。
これは、新古今和歌集の中で藤原定家が詠んだ「見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ」と同じ世界感なのかな、と思います。
あったはずのものが今ここにないから、なおさらに寂寥感が募るのです。松井先生の詩が見事です。
近田春夫さんが「読むヒット」で、この曲、というよりこの曲を歌うKiinaを評価してくださっています。
「この曲が、どれだけ名曲だったとしても、他の人が歌ってチャート的な説得力をどれほど発揮できるのか。氷川きよしが歌うから、我々リスナーは、この、とてつもなく古臭い歌に耳を貸すのである」
「この曲のヒットで私は思う。演歌が死んだのではない、その歌う人達のほとんどが、我々をふりむかせてくれないだけなのだと」
まさにその通り!
「白雲の城」は詩、曲、歌い手ともに完璧に揃った、平成歌謡史に残る不朽の名曲だと思います。
2003年はKiinaは袴姿の「白雲の城」1曲だけで勝負しました。
コロムビアも事務所も、そうすることで「本格派の演歌歌手」としてのKiinaのポジションを確立する狙いがあったのでしょうか。
この年のレコード大賞でKiinaは最優秀歌唱賞を受賞しましたね。
紅白歌合戦では、熱唱のあまりテレビ画面から消える事件もありましたね(笑)
「白雲の城」については、書き出したらきりがありません。思いが強すぎて文章もまとまりません。あのこともこのことも、また機会がありましたら、その時に。
ひとつだけ言わせていただければ、この曲こそ「生が一番!」。ステージ上でのあのパフォーマンスとフォルムの美しさも含めてこその「白雲の城」だということです。