今週始め、仕事の後で霞ヶ関のイイノホールへ神田伯山さんの講談を聴きに行って来ました。
大袈裟でなく伯山さんの講談会はチケットを取るのが難しく、このイイノホールでの月一恒例の講談会だけでも、今回eプラスの先行抽選に当選するまで7戦7敗だったのです。
この日の演目は赤穂浪士ものでした。私の知らない名前の人が主人公でしたが、伯山さんは最初の張り扇の音ひとつで早くも聴衆を物語の世界へ引きずりこんでしまいます。口跡の良さ、緩急自在の語り口、一人ひとりの登場人物になりきる力技に魅了され、気がついたら袖に引っこむ後ろ姿に力いっぱい拍手を送っていたのですが…
「待てよ?この充足感、満足感。ついこの間も味わったような…」と記憶の糸を手繰ってみたら、それはKIINA.の大宮コンでした。
「三味線旅がらす」からの「男の絶唱」「白雲の城」。そして「ボヘミアン・ラプソディ」「雷鳴」「限界突破×サバイバー」の流れ。
これを聴いた後の「ヤバい!凄いものを見てしまった」という震えるような感覚と同じものでした。
早い話が、伯山さんもKIINA.も天才なのです。それは数字でも理屈でもなくて、ただそれを目撃し空気を感じ取った人にしか分からない感覚だと思います。
KIINA.はたまたまあれだけのビジュアルを持っているので、「外見に惹かれでキャーキャー言ってるんだろう」と思われがちですが、それは違います(外見にも惹かれていますが)。神様に選ばれた天才だけがもたらしてくれる幸福感、充足感に浸っていたくて、何度でも足を運ぶのです。
伯山さんは講談界で「百年に一度」「衰退する一方だった講談の救世主」と誰もが認める人。KIINA.もまた歌謡界で百年にひとりの人だと私は思っています。
自分の生きている間にそんな人たちにめぐり逢えるのは何と幸せなことだろうと日々考えています。
伯山さんの講談会から帰った後、娘に「どうだった?」と感想を訊かれて、今日ようやく返事を返すことが出来ました。
「KIINA.と同じ。あの人も天才だったよ」