2006年3月15日、いよいよ満を持して「一剣」が発売されました。https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-15843.html
Kiinaの歌唱はこちらから↓
https://m.youtube.com/watch?v=JBkG9W9vx-c
歌詞は歌ネットより
https://www.uta-net.com/song/37396/
「満を持して」と書いたのは、もちろん私は関係者ではなくいちファンに過ぎないのであくまでも推測に過ぎないのですが、初めからこの曲はレコード大賞を取るために制作されたのだろうと思われるからです。
演歌が最後にレコード大賞を取ったのは1993年香西かおりさんの「無言坂」。以後、Mr.Children、trf、安室奈美恵さん(2年連続)、globe、GLAY、サザンオールスターズ、浜崎あゆみさん(3年連続)、Mr.Children、倖田來未さんと、時代はポップスによるミリオンセラーに移り変わっていました。
こうした時代の流れを業界の最前線にいるレコード会社も音楽プロダクションも感じないはずがありません。
この先演歌がレコード大賞を獲る可能性があるとすれば、「氷川きよし」しかいないという見立ては関係者の一致するところだったでしょう。
「もう一度演歌でレコード大賞を。それも"これぞ演歌!"という王道演歌で獲りたい」というのは長良会長の悲願でもあったでしょう。
悲願達成のためにこれまで培ってきたあらゆる人脈を駆使して根回しに務められたことは想像に難くありません。
根回しと裏工作は違います。レコード大賞を狙う時は早い段階で「うちは今年狙いますので」と関係筋にアピールする必要があります。
ミリオンが当たり前の時代に演歌が大賞を獲るには、世間が納得する売り上げ枚数も必要だったはず。事務所とコロムビア、そしてファンが一丸となって最終ゴールに向かって遮二無二突き進んだ1年間だったように思います。
そうした努力が見事に身を結んで、見事に2006年のレコード大賞を獲得。
その時の正直な心境をKiinaは2019年のスポーツ報知のインタビューでお話ししています。
【あの時・日本レコード大賞<15>】氷川きよし、大賞「一剣」は「周りがやってくれたもの」
https://hochi.news/articles/20191218-OHT1T50159.html?page=1
それでも、Kiinaの涙は美しかったし、何より松井先生が一番晴れがましい舞台に立っていらしたことが嬉しかったです。
「一剣」はレコード大賞を受賞した作品ですから、コンサートでもほぼ毎回歌っていますが、私がこの曲を心の底から楽しんで聴けるようになったのは、ここ数年のことのような気がします。
松井先生の歌詞からもKiinaの歌いぶりからも名刹勝尾寺で撮影されたというMVからも、関係者の過剰とも思える期待がヒシヒシと伝わってきて、むしろ息苦しくなるほど。正直な私の気持ちは「きよしくんがなんだか痛々しい…」だったので。
全身に力をこめて、すごく頑張って歌ってきた「一剣」。それがここ数年ようやく必要以上の力は入れないで伸び伸びと歌うようになって、私自身がレコ大だとかあの時のファン活動だとか余計なことを考えず、純粋に上質の演歌としてKiinaの歌声を味わえるようになりました。
そして、やっぱり「一剣」は格調高い名曲だと思います。