DATデッキ、カセットデッキの修理

DATデッキ、カセットデッキの修理の内容を紹介させていただきます。

カセットデッキのバイアス調整

2017-10-02 23:37:31 | バイアス調整について

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カセットデッキのバイアス調整につきまして

この記事は文献を見ながら書いたものではございません。

私の若い頃に得た記憶をたよりに書いておりますので、誤った記述がございます。 

後日、加筆、修正させていただきます。

 

近年、カセットテープの音は、デジタルにない暖かい音がする等、意味不明のことを平気で書いている雑誌、頭のおかしなライターの記事を目にして、また、カセットテープを使用して録音するカセットデッキについても、誤った解釈をしておられる方が多すぎてビックリします。

このままでは、「カセットの音って、もしかしたらいい音なのかも」等、幻想を懐く方、誤った知識を持たれる方が増殖してしまうのではなかと思います。

そのような方に一言申し上げたく、どうしても黙っていられなくなり、この記事を書かせていただきます。

 

理想の録音機

実際には存在しませんが、理想の録音機があるとすれば、それはインプットされた音とアウトプットされた音がイコールになることだと思います。

ソースとテープを切り替えて、同じ音がするということではなく、あくまでもライン入力とラインアウトが同じになるということです。

 

カセットテープ

正式にはコンパクトカセットテープと呼ぶそうです。

余談ですが、「カセット」という言葉の意味はフランス語で小さな箱を意味しますので、

コンパクトカセットという表記は、二重に形容していますので、おかしなネーミングではないかと思います。

コンパクトカセットテープは、ご存知のようにオランダの多国籍企業フィリップスが、メモ録音用に開発したシステムですので、音楽の録音・再生を想定して開発したものではございません。

余談ですが、オランダは風車とチューリップの優しい国なんてイメージを持たれているお花畑に住んでいる方もいらっしゃるかと思いますが、とんでもないことです。

オランダは、かつて、覇権国家として世界に多くの植民地を持ち、支配して奴隷として働かせ、収奪していた悪魔の国だったことを知るべきです。

そんな国の多国籍企業がつくったクソ規格のカセットテープですので、ハイファイ用途には使えず、理想の録音機とは、ほど遠い存在です。

 

カセットテープの音の限界

カセットテープには、さまざまな弱点があります。

回転ムラ、ヒスノイズは、一般的に知られていますが、その他にも下記が問題です。

①高音域の音が大きな音で録音できない

高い周波数の音を録音レベルを上げて録音することができません。

②変調ノイズ

走行中にテープが細かく揺さぶられ、主に高い周波数の音にノイズが付帯されます。

③テープによって音が変わる

これがおもしろい、カセットテープの楽しみだなんて言う方もいらっしゃいますが、私は録音機として欠陥であると思います。

 

私は、何故、今更、こんな欠陥システムで録音をするのか不思議でなりません。

カセットテープを使用しての録音・再生には限界があり、デジタル録音機(DAT)の登場を心待ちにしていました。

DATの長所は、カセットテープの弱点をすべて克服したものになります。

 

前置きが長くなりましたが、上記③の「テープによって音が変わる」

この欠点を、ある程度、解消するため、カセットデッキによっては「バイアス調整」できる機種があります。

 

バイアスとは

バイアスは、テープに歪みの無いように録音・再生するために重畳する高周波

本来であれば、磁気記録再生の原理から、ご説明しないといけませんが、時間がとれないため、結論だけ、書かせていただきます。

カセットテープを使った磁気記録には「交流バイアス法」が用いられています。

これは、音声信号に高周波を重畳(バイアス)して記録する方法です。

具体的には60~70kHzの高周波を音声信号に重畳します。

後年に発売されたカセットデッキはS/N比の向上のため、105kHz、210kHzの高周波を重畳しています。

上記は磁化曲線の図になります。

頭の良い方は、上記の図をご覧いただいただけで、理解していただけると思いますが、

磁界0の付近は曲線になっていますので、この付近のみ(バイアス無し)で録音・再生しますと、(録音できますが)音が歪んでしまいます。(音も小さくなります。)

磁化曲線の直線部分を使用して録音・再生するため、バイアスをかけます。

(磁化曲線の非直線領域をバイアスで埋めて、直線領域だけを使って、歪みの無い録音・再生を行うようにしています。)

バイアスは、テープに歪みの無いように録音・再生するために重畳する高周波です。

 

 

バイアス調整による音の変化(バイアス調整の目的)

バイアス調整を行って、主に周波数特性をフラットにします。

結論だけ書かせていただきます。

 

バイアス調整つまみを右側に回すと(バイアス電流を増やすと)

①高音域が低下します。

②MOL(主に中低域の実用最大出力レベル)が上昇します。

中低域中心の音楽は録音レベルを上げて録音することができます。

③SOL(主に高音域の実用最大出力レベル)が低下します。

高音域が多く含まれる音楽は(バイアス電流が少ないときと比べて)録音レベルを下げて録音しないと音が歪んでしまいます。

④高調波の歪が減少します。

 

バイアス調整つまみを左側に回すと(バイアス電流を減らすと)

①高音域が上昇します。

②MOL(主に中低域の実用最大出力レベル)が低下します。

中低域が多く含まれる音楽は録音レベルを下げて録音しないと音が歪んでしまいます。

③SOL(主に高音域の実用最大出力レベル)が上昇します。

高音域が多く含まれる音楽を(バイアス電流が多いときと比べて)録音レベルを上げて録音することができます。

④高調波の歪が増加します。 

 

実用最大出力レベルとは、どこまで録音レベルを上げて録音できるかということです。

アナログのカセットテープシステムは、録音レベルを上げていくと徐々に歪が増加します。

録音レベルを上げていって、3%の歪みになったレベルを実用最大出力レベルとしています。

バイアス調整つまみを回すと周波数特性が変化するだけでなく、録音できる最大レベルも変化することを考慮しなければなりません。

今更、こんな面倒なシステムで録音なさいますか?

 

 

バイアスを増やすと、どうして中低域のMOLが上昇し、高音域のレベルが低下するの?

 

正確さに欠け、また、ボキャブラリーが貧困で上手くご説明できず申し訳ございませんが、中低域はテープの磁性層の深層部に、そして高音域はテープの磁性層の表層部に記録されることに関係しています。

 

アナログのカセットデッキでは、音声信号を、そのまま磁気の変化に変えて磁気テープに記録していますので、中低域は波長が長く、磁気テープの深層部に記録されます。

高音域は波長が短いため、磁気テープの表層部に記録されます。

 

中低域は磁気テープの深層部に記録されるため、バイアス電流を増やすとテープの深層部まで、たっぷりと磁界が届き、より、強く記録されます。

余談ですが、3ヘッドカセットデッキのように録音ヘッドと再生ヘッドが独立している構成の場合、録音ヘッドのギャップ(磁気の出入りする隙間)が、再生ヘッドに比べ、少し広く設計しているのは、磁界をより多く放出するためです。

 

結果、バイアス電流を増やすと中低域のMOLが上昇します。

 

高音域は磁気テープの表層部に記録されるため、バイアス電流を増やすと、より大きくなった磁界により、(磁気テープの表層部に記録される高音域は)消されてしまい減衰してしまいます。

メタルテープの高音域の再現性が良いのは保磁力が高く、消え難いためです。

 

以上、上手く、ご説明できず申し訳ございません。

 

 

 

余談ですが、ソニーの高級カセットデッキTC-K777ESは、高級テープを使用したときに、ずば抜けたS/Nと、中低域主体の音楽を可能な限り録音レベルを上げて録音できるような設計(音作り)がされています。

これは、ほとんどの音楽が中低域中心だからです。

反面、高音域は倍音が録音できる程度で良いと、割り切った設計ですので、高音域が多く含まれた音楽を録音レベルを上げて録音する用途には向きません。

カセットテープを使用するシステムでは、原理上、妥協せざるをえず、万能な録音機を作ることはできないということです。

 

高級テープについて

一般的に高級テープは高音域の再現性が高いため、ハイ上がりの音になります。

録音レベルの飽和点も高いため、この特性をさらに活かすために、

バイアス電流を多くして、中低域の録音レベルを上げて録音することができます。

 

 

以上、下手な説明で申し訳ございません。

長文を最期まで、お読みいただきまして誠に有難うございました。

 

次回、録音イコライザーの使い方について解説できたらと思います。