踏雪の鳴き声がし、雪舞は外に出てみる。盗まれた荷物があることに気づきハッとする雪舞。そして誰かが去って行く後ろ姿を見かける。
追いかけた雪舞は「あなたが荷物を取り返してくれたのでしょう?」と聞く。立ち止まった相手が仮面を着けていることが分かり、雪舞は噂の仮面の義士だと悟る。
お礼にお茶でも、と雪舞は言うが、仮面の義士の首を横に振り行きそうに。慌てて雪舞は止め、首に虫に刺された傷がある、小さな傷だけどちゃんと手当てしないと化膿するかもしれない、ひどい毒で意識を失うこともある、私に手当てをさせてほしいと言う。仮面の義士は迷いながらも受け入れる。
家に入る前、馬の鳴き声がし、仮面の義士は踏雪へ近付いて行く。触ろうとする義士を慌てて止めようとする雪舞。しかし踏雪はおとなしく、雪舞は驚く。「変ね。人見知りの激しい馬で、よく知らない人には触らせたりしないのだけど」と雪舞は言う。
雪舞は家の中へ仮面の義士を招き入れる。「掛けて」と言い、雪舞が行ってしまうと、すぐに蘭陵王は平安の元へ。愛おしそうに見つめた後、蘭陵王は家の中を見回してみる。そして寝台に結髪が置かれていることに気付く。蘭陵王がその髪に触れようとした時、雪舞が戻ってきてしまう。
「この薬を傷口に塗って。一日三回、寝る前には忘れずにね」と雪舞は薬を仮面の義士に渡す。その時、平安が目を覚ます。
雪舞が抱き上げ、おとなしい平安の様子に「珍しい。普段は人見知りするのよ」と言う。そして平安が仮面の義士を見て笑う。雪舞は「ちょっと抱いてみる?」と言い、平安を仮面の義士に。「"平安"というの。生まれてひと月の子は福を呼ぶというから、民のために戦う折、ご無事でありますように」と雪舞は話す。嬉しそうに平安を抱く仮面の義士に、雪舞はなぜか蘭陵王が重なって見える。
引き止めておいてお茶も用意していなかったと、雪舞はお茶の用意をしに行ってしまう。
雪舞が戻ってくると、もう仮面の義士の姿はなかった。残されていた置き手紙に"薬をかたじけない。困った時は鳳凰山で狼煙を上げよ。すぐに駆けつけよう"と書いてある。
高緯の元に鄭児が来る。「鄭児、コオロギを書いてくれ」と言う高緯。しかし鄭児には何を言っているのか分からない。「コオロギ?」と言う鄭児に「朕の名を書いて教えてくれたことがあったであろう」と高緯は話すが「どうなさったのですか。突然、鄭児だとかコオロギだとか」と鄭児は返す。「忘れておった。そなたは馮小憐で、もう鄭児ではないのだな」と高緯は悲しそうに言う。「ご気分がすぐれぬようですね。お薬を飲めば楽になられるでしょう」と言う鄭児。そんな鄭児に「薬は飲まずともよいか?」と高緯は言う。飲みたくないと。
もう不眠は治ったと思う、と高緯は言うが、鄭児は高緯の顔も見ず「お薬をお飲みになったら、早めにお休みください」と薬を取りに行く。
鄭児は自分の元まで歩いて来た高緯に薬を三粒渡す。その薬を受け取った高緯は「鄭児、愛しておる、心の底から。もしも、そなたが死ねと申すなら、今すぐ死んでもよいほどに。この宮中で育った朕には、気にかけてくれる者などいなかった。そなたはただ一人、朕が心を許せる相手なのだ。それゆえ大人しく薬も飲もう。側にいてさえくれれば。よいな?」と言う高緯。この宮中で誠に孤独だった、そなたが現れ、夜ごと添い寝してくれた、それで満足だと。
高緯はゆっくり一粒ずつ薬を口に入れる。泣きながら鄭児を抱き締め「もう何もいらぬ。死んでもよい。なれどお願いだ、離れないでくれ。朕は恐いのだ。たった一人で生きていくのが」と高緯は言う。
蘭陵王が母と過ごした家に帰ってくると、高延宗が待っていた。「皆、兄上が心配でな」と言う高延宗。「"皆"だと?」と聞き返す蘭陵王。高延宗が呼ぶと、家の奥から楊士深や劉兄、何七など、かつて一緒に戦った仲間が出て来る。士深が職を解かれ、兄上と国堺で共に戦うつもりだった、ここへの道中で皆と会い、酒に酔って仮面の義士が生きていた兄上だと話してしまった、されば皆も仮面の義士について行きたいと、と高延宗は説明する。
「駄目だ」と言う蘭陵王。ついて来るとは朝廷を敵に回すこと、後戻りは出来ない、と。蘭陵王は皆の妻子や年老いた親のことも心配する。しかし皆の家族は残らず餓死していた。「殿下と共にあることは皆の人生の道しるべ、生きる支えとなるのです。どうか皆を拒まんでください」と楊士深は言う。祖珽が仮面の義士を捕らえようとしている、一人では危険だと高延宗も話す。蘭陵王は「分かった。共に来るがよかろう」と言い、高家とはすでに縁が切れている、これより後は"殿下"と呼ぶな、という条件を出す。
祖珽が来たら、目に物見せて追い返してやる、と言う高延宗に、蘭領は「いや、こたびは殺さねば。奴の血で犠牲となった民を弔う」と言う。
雪舞は仮面の義士に強い親しみを感じていた。ふと雪舞は棚に置いてある薬を見て、仮面の義士に渡した薬が間違っていたことに気付く。
仮面の義士を捜していた祖珽は、足取りもつかめずイラだっていた。その時、農民が国境の鳳凰山に向かった仮面の義士を見たという報告が。祖珽は兵を集め、山狩りすることに。
雪舞は置き手紙に書いてあった通り、鳳凰山で狼煙を上げる。約束した通り、現れる仮面の義士。雪舞は薬を渡した時、季節を考えるのを忘れていた、昨日のは夏には不向きだが、これも一緒に塗ればちょうどよくなると薬を渡す。そこに祖珽が兵を連れて現れる。義士は雪舞の手を取り、駆け出す。
義士は雪舞を隠し、兵達に向かい矢を放つと自分に引きつけ去っていく。皆が行った後、隠れていた場所から出た雪舞は、自分が蘭陵王に渡した帯が落ちている事に気づき驚く。「殿下にあげた帯だわ。どうしてあの人が持っているの」とつぶゆく雪舞。
仮面の義士に逃げられた祖珽だったが、麓からまっすぐここへ向かい煙の近くにいたことから、狼煙が仲間と会う合図ではないかと考える。
家に戻った蘭陵王は雪舞からもらった帯がないことに気付く。
雪舞は落ちていた帯を手に持ちながら"仮面の義士、あなたは誰なの?この帯は殿下が肌身離さず持っていたもの。ありえない。持っているはずがないのよ"と思う。そこに扉を叩く音が。
雪舞が扉を開けると、仮面の義士が立っていた。「あなたは誰?なぜこれを」と言いながら雪舞は帯を見せる。
仮面の義士は仮面を外し、その顔を雪舞に。仮面の下に現れた人物は楊士深だった。雪舞は驚く。役人の横暴を見かね、民を助けるために仮面の義士になったと話す楊士深。帯は殿下の死後、遺品を燃やせと命じられたが、大事になさっていたため密かに残したと言う。楊士深は帯はお返しする、噂が広まってしまい長居は無用、都に帰ると言いその場を後にする。
家に入った雪舞は、楊士深に虫さされの痕がなかったことに気付く。「仮面の義士ではないわ」と雪舞はつぶやく。そして嘘をついた事情があるはずたと思う。
楊士深が戻ってくると、蘭陵王に総て指示通りに伝えたことを話す。
祖珽の動きを聞く蘭陵王に、楊士深は「軍営はそのままで居座っております。おそらく長期戦に持ち込む準備が整ったのでしょう」と答える。蘭陵王は様子をみることにする。
宇文神挙は宇文邕に雪舞の様子を伝える。まもなく祭天の儀があり、慣例で宇文邕と高官は百日間、心身を清めるため外出はできない。宇文邕は神挙に少し遠方の練兵場で集中して弓の訓練をさせてみたらどうかと提案する。すぐに発ち、三日後に戻れと宇文邕に言われ、神挙は従う事にする。
神挙が出て行くと、宇文邕は外出するための馬を準備をするよう楊公公に命じる。
真相が知りたい雪舞は、おばさんに平安を頼み、一人で斉へ行こうと家の外へ出る。その時、鳳凰山に狼煙が上がっているのを見る雪舞。何ゆえ狼煙が?と言う雪舞に、おばさんは斉の兵が山に入るのを見た人がいると話す。まさか斉軍の罠では、と思った雪舞は「仮面の義士に知らせなきゃ」と飛び出して行く。
狼煙を上げていたのは祖珽だった。祖珽は山に入る道がいくつあるか調べてくるように命じる。
宮殿を抜け出し、雪舞に会いに来た宇文邕。宇文邕は斉軍が偽の狼煙で仮面の義士をおびき出そうとしているのを知った雪舞が、仮面の義士に知らせようと出て行ったと知る。急いで宇文邕も向かう。
雪舞を見つけた宇文邕は、危険な真似はやめ、私と来いと言う。山に入る道はここだけしかなく、仮面の義士が来たら止めなくてはいけないと雪舞は動こうとしない。しかし宇文邕は狼煙が上がってから随分経つ、仮面の義士も警戒しているから現れないのだと話す。そして宇文邕は雪舞の手を引き連れて行こうとする。その時「逃がさんぞ」という祖珽の声がし、雪舞と宇文邕は兵に囲まれてしまう。
祖珽は雪舞の顔を見て、すぐに一緒にいる男が宇文邕だと悟る。
雪舞と宇文邕は縛られ幕舎に連れて行かれる。その様子を蘭陵王と楊士深が見ていた。敵は多勢のため、蘭陵王は皆を集めるように言う。
幕舎の中で雪舞を眠らせてしまう祖珽。自らが斉の皇帝になろうと、祖珽は周に斉を攻めさせ、戦で弱ったところで謀反を起こし、皇位を奪おうと考えていた。宇文邕に毒茶を無理やり飲ませると、祖珽は周の兵を自分に従わせるよう要求する。飲んだのは三年のうちに急死する毒茶で、解毒薬を作れるのは自分だけだと。そこに仮面の男たちが来たと祖珽に知らせが。
兵と仮面の義士たちは戦うが、仮面の義士の仲間が一人、捕まってしまう。「手を引け。さもなくばこやつを殺す」と叫ぶ祖珽。仮面を着けた蘭陵王は楊士深と共に馬から降り、祖珽の元へ向かって歩いて行く。立ち止まった蘭陵王は「祖珽殿。手を下せばさらなる恨みを買うだけだ。地獄を見る事になるぞ」と言う。そして仮面を外す蘭陵王。その顔を見た祖珽は、驚きながら「生きていたのか」と言い、我らが軍神・蘭陵王だと兵たちはざわめく。
祖珽は蘭陵王を捕らえるように言うが、兵たちはその命に従おうとしない。そんな兵たちに「兄弟たちよ、これが朝廷の命なのは分かっておる。されどおぬしらも悪人に仕えたくはあるまい。私は諸君を敵に回したくはない。むろん武器を交えたくもない」と蘭陵王は言い、剣を地面に突き刺す。祖珽は朝廷の重罪人を捕らえるように言う。生きていることが宮中に伝われば、朝廷は大軍をもって捕らえる、そうなればそなたたちも生きては帰れないと。
「そうはおっしゃるが、蘭陵王の存命が知られなければ?」と言う楊士深。そして楊士深は兵たちに今らまだ間に合う、仮面の義士と一緒に義を貫くのだ、されど忘れるな、高長恭はもうこの世にはおらぬと訴えかける。兵たちはそれを聞き、持っていた武器を捨ててしまう。そして兵たちは祖珽を捕らえる。
幕舎の中で倒れている雪舞を見つけ「すまない」と言いながら抱き締める蘭陵王。医者を呼び雪舞を診てもらうと、眠り薬で寝ているだけだと分かる。
医者はやはり倒れていた宇文邕の脈を診ようと近付く。意識のないふりをしていた宇文邕は、目を開けると医者の手をつかみ殴ろうとする。その手を止めた蘭陵王。宇文邕は蘭陵王の顔を見て「おぬし。仮面の義士は蘭陵王か」と驚く。
二人きりに慣れる場所で「雪舞のことでは感謝している」と礼を言う蘭陵王。宇文邕が「生きていたなら、なぜ会いに来なかった」と聞くと、蘭陵王は「先の知れぬ身だ。巻き込んで平穏な暮らしを壊したくない」と答える。宇文邕はそんな蘭陵王の腹を拳で殴る。そして「それで幸せになれるか。おぬしを失う事よりつらいことが雪舞にあるとでも」と言う宇文邕。
宇文邕はよく蘭陵王といる時の雪舞を思い出すと話す。あの生き生きとした雪舞が朕の前には現れなかった、おぬしが死んでも雪舞の心に入り込む事はできないと。「朕には雪舞の心は一生得られぬ。雪舞に会ってやれ」と言い宇文邕は蘭陵王の肩を叩いて行ってしまう。
ーつづくー
鄭児は報われないつらい気持ちを一番分かっているはずなのに(o´д`o)=3
いつも見守るしかできなかったけど、ようやく蘭陵王が子供を抱く事ができました。
よかった~(*⌒ー⌒*)
平安にも父上だとわかっていたみたい。
本当に小馬ちゃんはいい人。
雪舞が大好きでも無理強いはせず、身の引き方も潔くて格好いい。
それでも、ちゃんと好きな人を守っている。
その小馬ちゃん、毒が心配。大丈夫かな?ヾ(・ω・`;)ノ
小馬ちゃんが「一緒に縛られるのも悪くない」って(≧∇≦)ノ彡
私も一緒に縛られたーーーーーーい!!!
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孤独なんですね!テイジも涙流していたのに…最後は手を握っていたから高緯の気持ちは分かっていても抑えれないのかな~
子馬ちゃんが優しすぎるし、あの毒飲んだから!解毒剤!!みんな知らないのよね??
絶対助けてあげてよーーーー
こんな優しい人を亡くしたら、民が不幸になるよーーーー
蘭陵王が平安を抱く姿がよかった~うん?雪舞気がつかないの?って思ったりしちゃったけど~
踏雪は気がついてよ~って(^_^;)
どうなるのかな??こちらは後3話かな?ドキドキ~
いい終わり方を期待します~
うささん、ありがとうございます~
それから、私も子馬ちゃんと一緒に縛られたい(≧∇≦)
蘭陵王は復活後の総髪+無精髭のルックスが格好いいです。(^O^)
しかしやはり蘭陵王&宇文爾羅突どんの「いい男コンビ」の爽やかな絡みはいいですねぇ。
できれば最終回に士深&神挙が酒を酌み交わすシーンがあったらもっと嬉しいと思います。(^^)
、、、でも、平安のために買い物にいって蘭陵王のための布地を買うくらいだからきがついていいのに!
子馬ちゃん、宇文神挙を遠ざけてきて村ではお付きの兵士はどうした?
一緒にしばられるのも悪くないって、、、
大卜の毒は、子馬ちゃんが口を閉じていたから、飲んでないんじゃないかなあ、、顔じゅいうぬれていたし。数滴でも毒は怖いのかなあ、、
雪舞に会わないのを、子馬ちゃんが怒って、ゲンコツを蘭陵王に一発!ヤッター。もっとお仕置きしてあげて!雪舞の想いや苦労や淋しさがこれで少しは伝わったかなあ、、
子馬ちゃんはお兄さんみたいでよかったです。
もう高緯にとっては皇帝の座も権力も関係ないのかな?
な~んか、憐れ(TT)
雪舞~蘭陵王のこと死んだと思ってるとはいえ気づきませんねぇ…気づいてもよさそうなんだけどなぁ(^^;
ちょっとやつれぎみで戦う蘭陵王~前よりカッコよく見えますが、やっぱり宇文ヨウには勝てないな(*≧∀≦*)
自分の想いより愛する女性の幸せを考える…よくできた男性ですね。素敵(*´∇`*)
録画見る前にうささんのあらすじと感想読んで、勝手に雪舞と宇文ヨウは背中合わせに縛られてたのかと思ってたんですが…別々でも、うん、一緒に縛られたいかも…( 〃▽〃)
毒を飲まされてしまった宇文ヨウ、心配ですね(TT)
雪舞が解毒剤作れないかな?
あと少し、続きが気になります
また人のいいことばっかりしていたら、こんなヒドイ仕打ち・・
祖テイ・・許さん!解毒薬、速攻で作って!!
どうしてこんなことになるの?
しかし、宇文ヨウ 悲しいよぉ
「生き生きとした雪舞が朕の前には現れなかった。
朕には雪舞の心は一生得られぬ。」
・・・宇文ヨウ 自身もわかっていたのですね・・・
雪舞が自分に振り向くことがないことがわかっていても
寛容な気持ちで、愛する女性をずっと守り続けていたなんて絶句です
宇文ヨウ、いつか彼が救われる時が来るのでしょうか
あ、蘭陵王と雪舞の再会が近いです
良かったけど、本当に良かったけど・・・宇文ヨウがとても心配です
どのように二人がこの危機から脱するのでしょうか???
それにしても、
高緯が切ないですね。
自分を認めてくれる場所を探して探して
鄭兒に見出したのに、
その気持ちは指の間をすり抜けて落ちていく砂のよう。。。
人間は自分の居場所を探すもの
ということをこの前の回から訴えているようで
高緯の見え方が変わってきました。