カメラを持って出掛けよう

仕事と音楽の合間に一眼レフとコンデジで撮った写真を掲載しています。

季節の記憶

2020年09月27日 | 丹波・播州
今日(9月27日)は北側の窓から少し冷ややかさが混じった風が流れ込んで来ます。
爽快な気分になると共に、丹波地方の様々な記憶が蘇ります。
オーケストラの練習や酒蔵でのコンサートなど催し物と人々が懐かしくなる季節になりました。
或いは断片的にも他生の記憶が呼び覚まされているのかも知れません。
とにかくこの季節の北風は懐かしさを運んで来るように感じます。



小説「Obralmの風」



入って来る時には気付かなかったが、玄関前の庭にはチューリップをはじめ色とりどりの花が春の午後を彩っていた。
(少し散歩してみるか・・・)
岳は花々と共に春の風を受けてみたかった。
「ちょっと散歩に出掛けます」
岳はダイニングに居る主人に声を掛けると外に出た。
綺麗に手入れされた洋風の庭は傾きかけた夕陽を浴びている。
近くの木立で鶯が囀り、山麓を吹き渡って来る風が時折耳元で風音を奏でる。
先程は宿泊交渉ばかりが頭にあり、このように静かで美しい楽園があることに気付かなかった。
庭を散策してしばらくするとタクシーが玄関前で止まり若い女性が下りるのが見えた。
(ほう、こんな山に若い女性が来るんか・・・)
岳は意外な光景に心の片隅がときめきに似た変調を来たすのを覚えた。
岳の居る庭からはハッキリ見えないが亜麻色に染めた長い髪とジーンズ姿は印象的に思えた。
もし彼女が喫茶だけでなく宿泊客なら今夜の食事が楽しみになる。
生死に関わる病を抱えながらも異性に心を躍らせ、想像を膨らませるのは何の作用なのか。
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