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おやじ2

2012-01-22 15:12:47 | 「ひととヒト」
慣れ親しんだ道を歩きました

降りた駅は「大和」

そこからいつもならば電車で向かう

前に住んでた場所「南林間」までの道を

今日は兄貴と二人で遠回り


意識もしないでふらっと歩いたその道には

長い期間あけなかった

こころの奥底にある思い出をあける鍵が

落ちていたのでした。






泉の森から歩く。

次の場所へ向かって、

「どこへ」も「どうやって」も決めずに、

僕と兄貴はただただ

足を前に、動かしました。



「本当になんにもないなんだなぁ」

って、感じてしまいました。

生まれてからずっと住んでた南林間。

ただ、そう思ったと同時に

「何もしていなかったんだなぁ」と感じます。

でも、もうひとつ。

一緒に湧き上がってくるモノ。


「好きだなぁ」という感情。


ただ何処にでもあるような、

チェーンのコンビニ、ファミレスとかがあるだけ。

そんな街並みを歩いているだけ。

でも、なんにもなくても

「誰かとその場所で過ごした時間」がある。


小学校でやってたバスケの後に

「あのプレーよかったよ」とかほめあってみたり、

前に付き合ってたコと

夜中に真剣に話しあうために来たり。


時間は移りかわってもその場所はその場所のまま、

そこにあってくれています。




「過ごした時間×感情の起伏×関わった仲間」


変わらない場所に来るたび、時間が経ったことを感じるのは

前に来た時、考えていたことや

やろうとしていたことたちが「ふぁ」っと思いだしてきて、

今の自分と比較してみて

「今の自分はどうだろう」

「あの時より元気で楽しくやれているか」

「しっかり成長できてんのか」って

その時の自分との対話がはじまります。

「その時の自分と比べて、今はこれが足りないな」とか思ったりして

「これからはこれをもっと頑張らなきゃな」って腹の下に力が入ります。




そんな小さな決意をひとつ、

頭の中にぼんやりと考えながら歩いた先は

「しなのや」ことデイリーストア。

いつものおばちゃんが前と変わらない感じで迎えてくれました。

たぶん、南林間を離れてから来たのは初めて。

おばちゃんは嬉しそうに「よくきたねぇ、よくきたねぇ」と

色々話しかけてくれました。


「お父さんとよく来てくれたわよねぇ」


狭い道に路上駐車。よく出掛けた帰りに立ち寄ってました。

その前にスーパーとか色々回って、

しっかり買い物をしたはずなのにきまって帰路の途中、

「しなのや、よる?」

と車内のご機嫌をうかがいながら聞くおやじ。

子供心に「しなのや=おまけつきのお菓子」と、

兄貴と一緒にふたつ返事。

家計を考えてくれてた母親からはちょっと不満そうな表情。

でも「買うのはたばこだけだから」

と出るおやじ。ついてく僕ら。

おばちゃんに会ってたわいもない話をすることも、

おやじの出掛ける楽しみのひとつだったんだなぁと今、感じます。


おやじが亡くなってから初めて兄弟で来ました。

普段止めていた車からのエンジン音、おやじの声はなく

その場所にいないおやじの話や、たわいもない会話を

変わらないおばちゃんとしたあとはポテトフライを買って小休止。

食べ終わったくらいに、おばちゃんが外へ出てきて

「あたらしいの食べてみる?」と新商品らしいぶたぐしの差し入れ。



沢山の時間とあったかい思いを重ねてきた場所で、

変わらない「おばちゃんのあたたかさ」と

変わってしまった「いつもの場所に無いおやじの車」という

リアルな映像を重ねることで

浮かべていた思い出からどれくらいの時間が経ったかということと、

「今」という新たな時間を違う気持ちで過ごしていることを感じて、

未だ決まっていない、場所へ歩き出しました。







次回につづく。




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