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元本割れとは?元本割れした場合のリスクや対策方法について解説

2024年12月04日 | 投資

投資にはリスクが付いて回るものですが、初めて投資にチャレンジしている方の中には損をしてしまわないか不安に感じている方も多いでしょう。
特に投資商品の多くは「元本割れ」を起こすリスクがあるため、心配する方もいるはずです。
そもそも元本割れとはどのようなもので、なぜ起きてしまうのでしょうか?
今回は、元本割れに関する基本的な知識と元本割れした場合のリスク、対策方法についてご紹介します。
投資を始めたばかりの方や、これから投資を始めようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。


■そもそも「元本」とは?

元本割れについて説明する前に、まずは元本がそもそもどういったものか理解しておく必要があります。
元本とは、投資において元手となる資金です。
例えば収益を目的に株式や債券などの有価証券を取得するためには、ある程度の資金が必要であり、この資金が元本になります。
また、預貯金をする際に預け入れる資金なども元本に含まれます。
株や債権などの有価証券を取得する場合の元本を「購入元本」、預貯金の元手になる資金を「預入元本」と呼び、さらに投資信託を購入する際の基準価額となる「個別元本」や、住宅ローン・自動車ローンなどの借入金で利息を含まない「借入元本」などがあります。


■元本割れとは?

元本割れとは、投資した商品の価格が購入した時の代金よりも下回ってしまうことを言います。
例えば、株価が3万円の銘柄を100株購入しようとする場合、合計300万円かかることになります。
株価が3万円から3万1,000円に値上がりすれば、3万1,000円×100株=310万円になるので、購入時よりも10万円利益が出ていることになります。
しかし、3万円から2万5,000円に株価が下がってしまった場合、2万5,000円×100株=250万円になるため、購入時より50万円もの損失が出てしまっています。
これが「元本割れ」の状態です。
元本割れになるのは株や投資信託、REITなどの値動きがある金融商品であり、銀行預金や郵便貯金などは元本割れを起こすことも基本的にはありません。
また、リスクの度合いによって


■元本割れした場合のリスク

万が一保有していた金融商品が元本割れを起こしていた場合、どのようなリスクが発生するのでしょうか?
それぞれのケースで必要な対応をご紹介します。

・投資信託で元本割れが発生した場合
投資信託で元本割れを起こしてしまうと、これまでに投資してきた資金が目減りしてしまいます。
ただし、元本割れを起こしても状況によってはすぐに売却するのではなく、保有し続けるのも1つの方法です。
保有し続けた場合に再び価格が上がり、取得した時の金額に戻る可能性もあります。

・基準価額が暴落してしまった場合
基本的には投資信託の基準価額が暴落してしまっても、これまでに投資してきた金額以上のマイナスになることはありません。
例えば100万円投資してきたのであれば、100万円以上マイナスになってしまうことはないです。
一方、株式投資の信用取引などでは追加支払いが必要となってくるケースもあります。
信用取引は証券会社に担保(委託保証金)を預け、その担保の数倍の金額を使って投資が行える制度を指します。
信用取引で元本割れを起こした場合、担保から損失分の金額が引かれてしまい、委託保証金維持率が計算し直されます。
委託保証金維持率が既定の割合を下回ってしまうと、規定まで戻すために追証を支払う必要が出てきてしまうのです。

 


■元本割れを防ぐための対策方法

長期的に投資を行っていると、どうしても元本割れを起こしてしまう場合が出てきます。
それでも投資のやり方を工夫すれば、元本割れが起きる頻度を減らすことも可能です。
ここでは、元本割れを防ぐための対策方法についてご紹介します。

・目標金額を事前に設定しておく
まず大事になってくるのは、目標金額を事前に設定しておくことです。
投資を行う前にゴールを決めておかないと、自身のリスク許容度を図ることも難しくなってしまいます。
投資を行う前に、なぜお金を増やしたいかを考えて、投資をする期間や目標額を設定するようにしましょう。
なお、金融庁や各金融機関が公開している運用シミュレーションを活用すると、期間や目標額を設定しやすくなります。

・分散投資をする
分散投資の方法としては、投資に慣れていない場合は購入するタイミングをずらして分散させるのがおすすめです。
例えばNISAで積立投資を行う場合、つみたて投資枠だと買い付け方法は積立投資のみに限られてしまいますが、成長投資枠の場合は積立投資と一括投資の両方が選べます。
さらに年間投資枠や非課税保有限度額の範囲内なら、つみたて投資枠や成長投資枠を併用することも可能です。

投資に慣れてきた方は、投資対象を分散させるのがおすすめです。
例えばこれまで国内の株式だけ購入していたのを、海外の株式や国内外の債権、不動産など様々な投資商品を購入していき、リスクを分散させていきます。
投資商品によっては好況期に値動きが上がりやすいものもあれば、逆に不況期に強いものもあります。
これらをうまく組み合わせることで、1つの資産が元本割れを起こしてマイナスになってしまっても、他の資産である程度カバーできるようになります。

・焦って売却しない
元本割れを起こしていると、つい焦ってしまい「早く売却しよう」と考えがちです。
しかし、市場は常に変動しており、元本割れを起こしていても一時的なものでその後大きく値上がったというケースも少なくありません。
投資を行う際には短期的な価格変動に振り回されず、長期的な視点を持って運用することが大切です。

・余剰資金で運用する
生活にも影響を与えるほどの資金で運用していると、元本割れを引き起こした際に生活が困窮する恐れが出てきます。
このような事態を防ぐためにも、余剰資金で運用することが大切です。
余剰資金で運用すれば、万が一元本割れが発生したとしても生活に大きく支障をきたすこともありませんし、投資をする際も冷静な判断がしやすくなります。


■元本保証・元本の確保を目指した金融商品

投資商品の中には元本割れを起こすものと、元本が減らない「元本保証」の商品があります。
元本保証や元本の確保を目指した金融商品は、以下のとおりです。

【元本保証】
・預貯金

【元本確保を目指した商品】
・個人向け国債
・外貨建て終身保険
・個人年金保険

預貯金が1,000万円とその利息分までの元本保証があり、万が一金融機関が破綻してしまった場合でも1,000万円+利息分は確保できます。
元本確保を目指した金融商品は、必ずしも元本を保証するものではないものの、原則元本の確保を目指しているため、元本分が戻ってくる可能性は高いと言えます。
また、元本確保を目指した商品は満期を迎えることで、預け入れていた元本に加えて利息を受け取ることもできるでしょう。
これらは元本割れのリスクが高い投資商品に比べてリスクが少ない分、リターンも少なめになってしまうので注意が必要です。

 


今回は、元本割れについてご紹介してきました。
元本割れはどの投資商品でも起こり得るリスクです。
元本保証の商品もあるものの、リスクが少ない分リターンも少なくなってしまいます。
元本割れのリスクをなるべく抑えるためにも、長期的な運用を意識することが大切です。
また、分散投資を行うことで元本割れのリスクを減らすこともできます。
今回ご紹介してきたポイントを押さえながら、自分に合った投資方法を選んでみましょう。