もしも自分に「another story」があったらどうなっていただろう?
この間、ふとテレビをつけたら不思議なことが起きていた。
NHKをつけたのに画面ではオールナイトニッポンのヒストリー。ご存知とは思うけどオールナイトニッポンは東京の民放ラジオ局ニッポン放送の番組だ。それをNHKが取り上げているとは、ずいぶん変わったなぁ、と感心。
そうだ、そうだ、と思い出したのが、もしも自分に「another story」があったらどうなっていただろう?
小学5年。ジャズとほぼ同時に深夜放送というものが自分の生活の中に大きく入り込んできた。夜型人間の誕生だ。
この頃から人が寝ている間に何か面白いことがあるような気がして生きてきた。
ジャズに関しては自分の生活環境から始まっているのだけど、深夜放送に関してはある新聞記事が切っ掛けとなっている。
たまたま見かけた地元紙の芸能欄に「深夜解放区」という言葉と「深夜放送」という記事が目に入った。
午前1時から午前5時までの新しいタイプの番組が始まる、というもの。へえ〜と思ったが、その頃は高度成長期の末期でどんどん古いものが新しいものへと変わって行く時代だった。
四国の片隅の街も例外ではなく、自分の住む界隈でも次々に新しいビルが建ち、日に日に姿を変えていった。学生紛争も盛んで、世の中が根本から分裂しているのを小学生でも感じていた。
テレビでは毎朝TBSで「ヤング720(セブン・ツー・オー)」という今の番組よりも遥かな進んだ情報カルチャー番組が始まって、当時流行りのグループサウンズに紛れて日野さんなどジャズメンも登場していたので欠かさず見ていた。番組後半の星占いを見て学校にダッシュすれば間に合った(笑)。
あらぬるところで「それまでの」という形をぶち壊そうとする潮流が小学生の生活にまで入って来た頃に、ラジオというそれまで全く縁のなかったものが自分の生活に入り込んできた。
そもそもラジオなんて、ラジオ体操くらいしか関わるものがなく、殆ど情報や娯楽はテレビで育った世代。ラジオという古臭い響きに子供は興味すらなかったのに、「深夜解放区」って、どーよ。
地元の放送局でも自社制作の深夜放送を始めていて、そのパーソナリティーの一人、泉浄彦さんは父親の演奏会の司会などで顔見知りだったのもあってなんとなく親近感があった。その自社制作番組は午前1時半に終わる。地元局の放送電波が消えると、なんと不思議なことに、あちこちのラジオ電波が受信できるのに気がついた。昼間はほとんど聞こえないのに、深夜になると信じられないほど広範囲の電波が届くのが面白くて、いろんなステーションを聞いた。
晴れの日よりも曇りの日の方が電場状態が良く、大阪の人気番組「ヤングタウン」をはじめ、文化放送「セイヤング」TBS「パック・イン・ミュージック」、そしてニッポン放送「オールナイト・ニッポン」。いろいろ聴き比べた結果、「オールナイト・ニッポン」に腰を据えた。
この時代は局アナがDJを担当する時代で結構パーソナリティー同士の「うちわ話」が面白かった。
子供にとって、あるいは地方の人間にとって、知らない言葉や地名もポンポン飛び出すうちに、なんとなく想像がつくようになる。いわゆる「大人話」の面白さ。四国の松山にいて埼玉県の春日部の話に詳しくなったり、真夜中の三時にリスナーからのハガキをスタジオにぶん投げて一番遠くに飛んだハガキに賞品をプレゼントしたり、ノンストップで音楽をかけてGo Go Go and gose on!とハイカラなおじいさんがいたり、番組の担当をして朝までやっても局アナだから時給数百円しか付かないとか(笑)。一人一人はスターでもなんでもないのに、真夜中にこれだけ楽しませてくれる話術はすごいな、と。
多分、もしも音楽に指向性があるとすれば、僕はステージに立って演奏するのを見てほしいという指向よりも、僕の音楽がスピーカーから流れてくるのをそれこそ深夜にでも一人で聴いて楽しんで欲しい、という指向が強いのは、この深夜放送の楽しみを知っているからかもしれない。多分そういうところに合うものを作っているんじゃないか、とも。深夜放送系ミュージシャン。意外と、どストライクかもな。
そこで(当時)思ったのが、放送関係の仕事に進むか? という野望。中学になると放送部に出入りして校内放送でジャズを流したり、放送室に吹奏楽部から借りたヴィブラフォンを持ち込んで録音マニアの部員を従えていろんな楽器をオーバーダビングして悦にいったり、まぁ、遊びは遊びながら、今日の仕事に直結したことばかりで良くもまぁ、あの時代にオーバーダビングして音源を作る楽しみをやっていたもんだ。と。
結局高校で音楽科に進んだことでジャズへの道が確定(親はクラシックに進めようと・・・/笑)したことで放送関係の仕事への道は断たれたけど、あの「オールナイト・ニッポン」とジャズ漬けだった小中学時代を思い出すと、もう一つの自分の人生というものが「そちら」にあったかもしれない。
若い頃MCで喋るとアナウンサーみたい、と言われた時期もあったが、あれも深夜ラジオから聞こえていた局アナの喋りを覚えてそれが自然とマイクを持つと出て来ていたのかも。
そう、素手で喋るのはとても照れくさい癖に、マイクを持つと安心する、というのも「そちら」の痕跡かもしれない。
皆さんも「another story」、思い出してみてはいかがでしょう。
それにしてもNHKさん。これは拍手です!
今週末は東京・世田谷のカフェで!!
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■2022年11月19日(土)東京・成城 CAFE BEULMANS
開場 19:30 開演 20:00
第二回(8月延期分)望月慎一郎(p)赤松敏弘(vibes)Duo
先日信州での演奏を行ったばかりの二人が東京・成城にどんな余韻を醸し出しますか乞うご期待!

- MC=3700円 +2drinks order
- 問い・予約 03-3484-0047

- 東京都世田谷区成城6-16-5カサローザ成城2F
続いて湘南の茅ヶ崎で!!
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■2022年11月30日(水)神奈川 茅ヶ崎 Storyville
開場 18:30 開演 19:00
赤松敏弘(vibes)×酒井麻生代(flute)Duo

- MC:3.850円(別途要オーダー)
- 問い・予約0467-91-9604
- 〒253-0056 神奈川県茅ケ崎市共恵1-8-19 中島ビル1F
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発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
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それでは今日も楽しい一日を!
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【放送】
今週のオンエア (11月16日~11月22日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)
番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』
癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
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■月〜金曜 放送時間 17:00〜18:00 (東京シティ競馬中継の時はお休み) ■土曜 15:44〜16:00 / 27:00〜28:00 ■日曜 15:44〜16:00
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“ねこの足跡”
21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)

演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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■月〜金曜 15:20〜15:30 (東京シティ競馬中継の時はお休み) ■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00 ■土曜 17:30〜18:30 / 25:00〜26:00 ■日曜 17:30〜17:38 / 25:00〜25:35 / 25:35〜26:35 ■祝日 12:00〜12:16
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“路面電車のある風景 - 1”
『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)

演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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■土曜 18:30〜19:00 ■日曜 18:30〜19:00 / 24:00〜25:00
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“猫の足跡 看板猫”
22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)

演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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■月曜〜金曜 20:00〜20:09 (東京シティ競馬中継の時はお休み) ■土曜 16:52〜17:00 ■日曜 16:51〜17:00 / 28:00〜29:00
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“東京点描 城南1”
『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)

演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
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