冷却機能

今日、福島第１原発では土曜の１号機に引き続いて３号機でも水素爆発が発生した。　さらに２号も冷却機能を喪失している。　このニュースを見た会社の同僚は福島もチェルノブイリの二の舞か、日本は放射能に汚染されてしまうのかと騒いでいる。

私の周りには消防、警察、自衛隊と防災関係者の友人も多し、大学時代に若干は原子力工学も学んだので普通の人よりは原子力に詳しいと思っているが、この国の報道は大切なことを伝えていない。
原発の事故と言えばスリーマイルやチェルノブイリを思い起こす方が多いと思うが、これらの原発とは原子炉の構造そのものが違うのだ。
また、原子炉の冷却機能を喪失したことは確かだが、水素爆発も原子炉本体が吹き飛んだものじゃなく、格納容器はきちんと機能もしている。

世の中には絶対はないと思っているので原発が絶対に安全だとは言わないが、何が起こりえて、何が考えにくいのかを報道機関はきちんと伝える義務がある。

何か事故が起きれば、最悪の場合はあーだこーだとか、国の公表が遅いとか、批判や煽動ばかり繰り返しているが、防災関係者だって最悪のケースは考えている。
考えてはいるが、まだ特別な対応の必要がない時でも無闇やたらに公にすることによって、国民がパニックになり、統制がきかなくなる最も最悪な事態を避けたいのだ。

全てを理解したうえで適切に振る舞える人ばかりなら何も問題はないのだが、そんな人はごく少数派で、自分の都合で行動してしまう人がほとんどだろう。
売り上げを伸ばすための大々的な見出し攻勢を否定するつもりはないが、こんな時には、そういった大衆心理を考えた冷静な対応を望みたい。

消防、警察、自衛隊など防災関係者のがんばりをムダにしないためにも、今、一番望まれるのは過熱報道を冷ます冷却機能である。