SENO Kiyoshi Chagrin (technique mixte, 74,2X52,8cm)
心を揺るがす哀歌、SENO Kiyoshiの”Chagrin"は、光と清澄さを記帳とした作品である。
まるでステンドグラスのように、画面全体には光が染みわたっている。そしてそこを統一する
絶妙な緑が、この画家の類まれな技術によって、「光の余剰」を吸収し、観る者は思わず
その心地よさに陶酔する。
目前で繰り広げられるあまりにドラマチックな構成というものが、しばしば観る者の興味を
誘うのに失敗してしまうのに対し、SENO Kiyoshiは我々の前に光のヴェールをかけてしまった。
そして我々はその光にすっかり包み込まれるーこの光に輝く子供の横顔のように。沈黙や
敬虔さ、内省を必要とする出来事の、さらに奥深くをみつめるために。
感動をよびさます作品とは、最大限の慎みを保ちつつ、人の痛みを表現する。
この作品が、高らかに宣言するよりもむしろ暗示しようとしている事を、私達は見過ごすべき
ではない。
また人間の慈愛と連帯の精神をもって、この「痛み」を分け合おうとしている事を。
ノエル・コレ氏(サロン・ドトーヌ会長) 転載文責 塩見昭