長期間宇宙旅行をしていると「ウラシマ効果」なる現象に見舞われる。
ウラシマ効果
「物体が高速で移動するほど、その系における時間の流れが遅くなる」という特殊相対性理論の一説である。
光速に近い速度で移動している宇宙船の内部では時間の進行が遅くなるので、宇宙飛行士が数ヶ月ぶりに地球に帰還したら、地球ではもう何百年も時が経過していた、というSFではおなじみの設定である。
で、今回の若田さんだが、SF小説のように数ヶ月も宇宙空間で移動していた。しかし、別に光速に近いスピードで移動していたわけではないから、時間のずれはそれほど生じてはいない。せいぜい0.1秒以下のずれだろう。
しかし、若田さんの肉体は深刻な浦島現象に晒されている。浦島太郎は玉手箱を開けたら、あっという間にお爺さんになってしまったが、地球に帰還した若田さんも「老田さん」になってしまったのである。
若田さんの玉手箱は無重力と放射線である。この二つが若田さんを急激に老化させてしまったのである。
これからリハビリ45日間…若田さん、なお激務
≪国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中、体調は崩さなかった。だが、無重量状態では体に負荷がかからず、骨や筋肉が急激に衰える。毎日2時間の運動をこなしても、筋力は約2割落ちて一気に20歳も年をとった状態になる。骨量も骨粗鬆症患者の約10倍の速さで減るとされる。≫
しかし、無重力による障害はその後のリハビリである程度回復できる。
どうしようもないのは放射線被曝である。
≪宇宙を飛び交う放射線の影響も調べる必要がある。地上での日常生活で浴びる放射線量は年間約2ミリシーベルト。若田さんは今回、約90ミリシーベルトを被曝したと見積もられている。40年分ほどを浴びたことになる。一方、原子力施設などで働く放射線業務従事者の場合、被曝量は5年間で計100ミリシーベルトを超えないよう規制されており、若田さんの被曝量は、ほぼこの5年分にあたる。≫
何故老化現象が起こるのか?
老化に関する研究はここ数年急激に進歩しているが、老化とは細胞の複製が阻害される現象である。原因はDNAの損傷だ。その中で放射線は主要な要因になっている。
つまり、大量に放射線を浴びた人は老化が進行してしまうのである。
宇宙旅行は魅力のあるテーマだが、現実は過酷で厳しいのである。
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