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3時間半ルールが今年も適用されることになりました。
ということは、去年と同様、引き分けの試合が多くなることが必至ですね。
それによる影響をまとめてみました。
■なぜ引き分けが多くなるのか?
野球は基本的に投高打低。
ヒットの打率が高くてもせいぜい3割。どんな好打者でも、7割は凡退するスポーツです。
だから、引き分けで延長戦に突入しても両チーム得点できないまま終わる確率が高く、
まして時間制限があれば、得点できるチャンスが来ないまま終わるケースが増えます。
さらに、時間制限が近づけば、成績のいい中継ぎ投手を先行投入して負けない確率を高めるわけで、
両軍ともに同じようにすれば引き分けの確率は格段に上がります。
■引き分けが勝ちに等しい?負けに等しい?
時間制限を設けることで、引き分けが増えることの影響を考えてみます。
よく、引き分けなのに「勝ちに等しい」とか「負けに等しい」という言葉が使われますよね。
以前もやりましたが、その言葉の検証です。
(1)シーズン終盤は順位に直接影響する
去年のシーズン終盤でもありましたが、順位が決定するためにあと1つでも引き分けさえすれば上位にいける、
という状況であれば「引き分けは勝ちに等しい」といえます。
去年のオリックスはそのあと1つ引き分けさえすれば、という状況で負けて悔しい思いをしました。
逆に、1988年の近鉄-ロッテの10.19では、近鉄は時間制限による引き分けで優勝を逃したわけですね。
すなわち「引き分け=負け」だったわけです。
引き分けは、そのときの状況によりますね。
(2)連敗・連勝は止まったことにならない
連敗中のチームが引き分けをしても、負けなかったのに連敗は止まったことになりません。
つまり、引き分けは試合をやらなかったに等しいってことなんですよね。
でも、「試合をやらなかった」ことと、「引き分けた試合をやった」ことの大きな違いは、残りの試合数が変わることです。
つまり、順位を決定付ける「勝率=勝った試合数/引き分けを除いた試合数」の分母が違ってくるわけです。
(3)勝率への影響
勝率に影響するという点で、引き分けが有利か不利かという点を考えます。
たとえば、A・B・C・D・Eの5チームで各144試合を消化したとすると、
○Aチーム 2勝1敗141分(貯金1) 勝率.667
○Bチーム 94勝50敗0分(貯金44) 勝率.653
○Cチーム 72勝72敗0分(±0) 勝率.500
○Dチーム 50勝94敗0分(借金44) 勝率.347
○Eチーム 1勝2敗141分(借金1) 勝率.333
(実際、こんな対戦成績はあり得ませんが)
この結果、Aチームは貯金はたった1なのに貯金44あるチームよりも上位。
逆に、Eチームは借金はたった1なのに、借金44あるチームよりも下位。
すなわち、順位は勝ち数や勝ち点ではなく、勝率で決まるためにこういう現象が起き得るということです。
実際、去年は西武が67勝、オリックスが68勝したにもかかわらず、西武が上位だったわけです。
これは勝率が5割より上であれば、引き分けが得、5割を下回れば引き分けは損ということになります。
つまり、チームの順位や状態によって、引き分けに持ち込みたい状況と勝たなければいけない状況と変わってくるわけです。
■引き分けの試合による影響
(1)引き分けに持ち込みたい場合
チームが上位であり、最悪でも引き分けならOKという場合、
中継投手にどんどんエース級をつぎ込むことで失点する確率を減らせます。
さらに、サッカーでは作戦の一環としてよくある時間の引き延ばしをすることで相手の攻撃するチャンスを減らすことも考えられます。
靴紐を結びなおしたり、スローイングをするまでに時間を掛けたりして、タイムアップを狙うという作戦。
ただし、サッカーの場合は審判がプレーの状況を見ながら裁量でロスタイムを決めて少しは帳尻を合わせられますが、
野球ではそこまでルールが確立されていません。
15秒ルールも有名無実化されてしまいましたし。
特に3時間半ルールが2シーズン目になる今季は、時間制限に対する作戦も各チーム色々練ってくることだと思います。
(2)中継投手への影響
チームの順位やゲーム差、先発投手のローテーションなどの状況により、
1点、2点差のビハインドでも引き分けに持ち込みたいという状況なら、
勝ちパターンの投手、オリックスなら平野・岸田の投入も増えるものだと思います。特にシーズン終盤は。
それによって中継ぎ投手の登板回数に偏りが出るのも仕方ないわけで、
平野・岸田が60試合以上登板しているのに対し、高宮が1ヶ月以上1軍にいながら登板がなかったということもあります。
より抑える確率を高めるには、予定外のピッチャーをつぎ込むよりリレーが確立された方が良いのですが、
将来的に平野・岸田が連投の場合で疲労を軽減させるには、それ以外のパターンを想定することも1つの作戦ですね。
(ただし抑えられる確率は下がりますが)
(3)試合終了時の感情
感情的な話ですが、現地で引き分けの試合を終えたときの状況を思い返すと、以下のようになります。
・ホームチームの場合、裏の攻撃を凡退して試合終了となります。
その際、相手チームはマウンド上でハイタッチしながらベンチに引き下がっていくわけで、
その様子を見て試合終了を実感するホームチームファンの観客は、「残念だった」という思いで球場を後に。
・逆にビジターチームだと、表の攻撃が終了した段階で負ける可能性が消えるわけですが、
最後バッターを抑えて終了ということで「負けなくて良かった~」という感情で引き分けに胸をなでおろし、球場を後にしたものです。
球場での観戦客は、必然的にホームチームのファンが多いわけですから、
結果的に引き分けで試合終了したときに球場全体がガッカリの雰囲気が蔓延するため、
引き分けの試合の評判が良くないのは上記の理由が考えられます。
そんなとこですね。
私個人としては、延長15回でもベンチ入りメンバー総動員で戦う方が好みというのもありますが、
野球の地位を守るためには仕方ないですね。
昨年は急造ルールということもあって、当事者もファンも不慣れなところはありましたが、
今年はルールを逆手にとって攻略できるかがカギになりそうです。
特に中継ぎ投手が充実したオリックスとしてはチャンスだと思います。
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お時間とお気持ちに余裕がありましたら・・。
ということは、去年と同様、引き分けの試合が多くなることが必至ですね。
それによる影響をまとめてみました。
■なぜ引き分けが多くなるのか?
野球は基本的に投高打低。
ヒットの打率が高くてもせいぜい3割。どんな好打者でも、7割は凡退するスポーツです。
だから、引き分けで延長戦に突入しても両チーム得点できないまま終わる確率が高く、
まして時間制限があれば、得点できるチャンスが来ないまま終わるケースが増えます。
さらに、時間制限が近づけば、成績のいい中継ぎ投手を先行投入して負けない確率を高めるわけで、
両軍ともに同じようにすれば引き分けの確率は格段に上がります。
■引き分けが勝ちに等しい?負けに等しい?
時間制限を設けることで、引き分けが増えることの影響を考えてみます。
よく、引き分けなのに「勝ちに等しい」とか「負けに等しい」という言葉が使われますよね。
以前もやりましたが、その言葉の検証です。
(1)シーズン終盤は順位に直接影響する
去年のシーズン終盤でもありましたが、順位が決定するためにあと1つでも引き分けさえすれば上位にいける、
という状況であれば「引き分けは勝ちに等しい」といえます。
去年のオリックスはそのあと1つ引き分けさえすれば、という状況で負けて悔しい思いをしました。
逆に、1988年の近鉄-ロッテの10.19では、近鉄は時間制限による引き分けで優勝を逃したわけですね。
すなわち「引き分け=負け」だったわけです。
引き分けは、そのときの状況によりますね。
(2)連敗・連勝は止まったことにならない
連敗中のチームが引き分けをしても、負けなかったのに連敗は止まったことになりません。
つまり、引き分けは試合をやらなかったに等しいってことなんですよね。
でも、「試合をやらなかった」ことと、「引き分けた試合をやった」ことの大きな違いは、残りの試合数が変わることです。
つまり、順位を決定付ける「勝率=勝った試合数/引き分けを除いた試合数」の分母が違ってくるわけです。
(3)勝率への影響
勝率に影響するという点で、引き分けが有利か不利かという点を考えます。
たとえば、A・B・C・D・Eの5チームで各144試合を消化したとすると、
○Aチーム 2勝1敗141分(貯金1) 勝率.667
○Bチーム 94勝50敗0分(貯金44) 勝率.653
○Cチーム 72勝72敗0分(±0) 勝率.500
○Dチーム 50勝94敗0分(借金44) 勝率.347
○Eチーム 1勝2敗141分(借金1) 勝率.333
(実際、こんな対戦成績はあり得ませんが)
この結果、Aチームは貯金はたった1なのに貯金44あるチームよりも上位。
逆に、Eチームは借金はたった1なのに、借金44あるチームよりも下位。
すなわち、順位は勝ち数や勝ち点ではなく、勝率で決まるためにこういう現象が起き得るということです。
実際、去年は西武が67勝、オリックスが68勝したにもかかわらず、西武が上位だったわけです。
これは勝率が5割より上であれば、引き分けが得、5割を下回れば引き分けは損ということになります。
つまり、チームの順位や状態によって、引き分けに持ち込みたい状況と勝たなければいけない状況と変わってくるわけです。
■引き分けの試合による影響
(1)引き分けに持ち込みたい場合
チームが上位であり、最悪でも引き分けならOKという場合、
中継投手にどんどんエース級をつぎ込むことで失点する確率を減らせます。
さらに、サッカーでは作戦の一環としてよくある時間の引き延ばしをすることで相手の攻撃するチャンスを減らすことも考えられます。
靴紐を結びなおしたり、スローイングをするまでに時間を掛けたりして、タイムアップを狙うという作戦。
ただし、サッカーの場合は審判がプレーの状況を見ながら裁量でロスタイムを決めて少しは帳尻を合わせられますが、
野球ではそこまでルールが確立されていません。
15秒ルールも有名無実化されてしまいましたし。
特に3時間半ルールが2シーズン目になる今季は、時間制限に対する作戦も各チーム色々練ってくることだと思います。
(2)中継投手への影響
チームの順位やゲーム差、先発投手のローテーションなどの状況により、
1点、2点差のビハインドでも引き分けに持ち込みたいという状況なら、
勝ちパターンの投手、オリックスなら平野・岸田の投入も増えるものだと思います。特にシーズン終盤は。
それによって中継ぎ投手の登板回数に偏りが出るのも仕方ないわけで、
平野・岸田が60試合以上登板しているのに対し、高宮が1ヶ月以上1軍にいながら登板がなかったということもあります。
より抑える確率を高めるには、予定外のピッチャーをつぎ込むよりリレーが確立された方が良いのですが、
将来的に平野・岸田が連投の場合で疲労を軽減させるには、それ以外のパターンを想定することも1つの作戦ですね。
(ただし抑えられる確率は下がりますが)
(3)試合終了時の感情
感情的な話ですが、現地で引き分けの試合を終えたときの状況を思い返すと、以下のようになります。
・ホームチームの場合、裏の攻撃を凡退して試合終了となります。
その際、相手チームはマウンド上でハイタッチしながらベンチに引き下がっていくわけで、
その様子を見て試合終了を実感するホームチームファンの観客は、「残念だった」という思いで球場を後に。
・逆にビジターチームだと、表の攻撃が終了した段階で負ける可能性が消えるわけですが、
最後バッターを抑えて終了ということで「負けなくて良かった~」という感情で引き分けに胸をなでおろし、球場を後にしたものです。
球場での観戦客は、必然的にホームチームのファンが多いわけですから、
結果的に引き分けで試合終了したときに球場全体がガッカリの雰囲気が蔓延するため、
引き分けの試合の評判が良くないのは上記の理由が考えられます。
そんなとこですね。
私個人としては、延長15回でもベンチ入りメンバー総動員で戦う方が好みというのもありますが、
野球の地位を守るためには仕方ないですね。
昨年は急造ルールということもあって、当事者もファンも不慣れなところはありましたが、
今年はルールを逆手にとって攻略できるかがカギになりそうです。
特に中継ぎ投手が充実したオリックスとしてはチャンスだと思います。

お時間とお気持ちに余裕がありましたら・・。
去年は平野や岸田などかなり負担をかけてしまいました。
しかし今年はミンチェなど中継ぎが強化されたので心配いらないですね。
継投が同じパターンになる傾向があって、戦略のバラエティが減るのは私の好みから外れます。
でも、そこは平野・岸田以外にもミンチェ・香月・比嘉・吉野といったメンバーが活躍して盛り上げてくれればと思います。