遊び疲れて眠る二人
随分前の話 それは ジュニアを教えだした頃の一人の男の子
本業だった金型業を閉めてテニス業界に何もわからず飛び込んだ
試合での成績など無い
そこでテニスを教えながらガット張りのお店を開く
その時期初めて教えた子は今はもう40になるだろうか
ある程度打てるようになり試合も出だして 勝つことが 目標になった時急に移籍した
自分の娘が所属していたクラブだった
そのクラブは県内ではトップ選手ばかり
その男の子
隣の庭が立派に見えて移籍したが、壁にぶつかった
そこのコーチのことで
戻ってきたいと訴えたが親は許さなかった
それはそうだ!頭を下げ頼み込んだ手前「辞めさせてください」とは言えなかったんでしょう
その後もしょっちゅう家に来ていた
移籍してすぐの試合
福井県6位で北信越大会に行けた
試合前日家でボロボロのバスタオルを「これ、俺が選手の時使っていたタオル。困った時これでがんばれた」と 嘘を言って渡した
精神的に技術的に未熟だった彼
性格も知っていた
だから お守りのつもりで渡した。もちろんお洗濯済みである
実際に自分がテニスで使っていたのも事実
ただ、試合で困ったときには使っていなかった(笑)
試合当日見に行った
多分富山だったような
一回戦案の定 立ち上がり悪くリードされる なんとか盛り返し タイブレーク突入
8ゲームマッチの頃
その時にタオルを握りしめながら試合をしていた
結果 勝った
喜んで報告してきた彼の顔は今でも正確に記憶してる
満面の笑み 目を細め汗だくで「勝ちました」って
所属コーチに見つからないよう隅っこで
テニスを教えていて 技術ではないことはたくさんあって 精神的な駆け引きも大切
選手とのコミニュケーションも大事
たまに 嘘の魔法も いいではないか
「勝ってくれる支えになるなら」
一緒に戦っているんだぞ!と その思いを共感できて支えになれば
魔法の力
たまにはいいですよね 許してください 神様